21/どうすれば
その合図で俺とフェールはリッシュの右に、シュピィは左側に走る。
「ほう......煙幕ですか。いい行動ですね。ですが無駄ですよ。見えなくても、近づいてしまえば魔力の歪みは肌で分かりますからね」
そう言ってリッシュはまたゆっくり部屋の中を歩き始めた。
俺は盗賊スキルの効果で、シュピィはそれプラス獣猫族で目がいいため、煙の中でもリッシュの場所が分かる。
しかしリッシュには何も見えていないため、今は時間を稼ぐことができるのだ。
だが、この煙に視界を遮られているのはフェールも同じ。
俺の手を掴んでいる限りは平気だが、もしこの手が離れてしまったら、あてにするものを失うため、動けなくなってしまう。
それだけは避けなければならない。
「......そっちですかっ!!」
その時、リッシュの剣がフェールのギリギリ手前を通る。
「うわっ!」
「危ねえ!」
俺が手を引き、フェールをリッシュから離す。いつの間にこんなに近づかれていたのか。
そう思っていると、リッシュが話しだす。
「今のを避けるとはやりますね。ですが、いずれあなた方はここで終わる運命ですし、諦めたらどうです?」
俺はその言葉を無視し、この状況を変える打開策を考える。
その時、俺の目に隠し扉が写った。




