19/作戦開始
「さてと、そろそろ飯でも与えますかね」
屋敷の中で、リッシュトロイアという人物が奴隷に飯を渡そうと隠し扉を開く。
この屋敷ではリッシュの完璧主義な気質から、メイドなど使用人は雇っていないため、全ての事を自分でやるのだ。
もちろん、奴隷の管理も。
コツン、コツンと、階段を下っていき牢屋を覗くと、
ーーーーーそこには誰もいなかった。
「.......ほう、野良猫でも入ったのですかね」
しかしリッシュは、落ち着いた表情のまま、階段を登っていくだけだった。
「......来るぞ」
シュピィと俺が聞き耳を立て、リッシュが隠し扉を開けに来るのを待っていると、足音が聞こえてきた。
それに合わせ、階段を降りて牢屋の前の広いスペースに行き、壁に寄る。
「フェールもこっちに来てくれ」
「う、うん」
「作戦開始だ。行くぞ」
その掛け声に合わせ、姿勢を低くし、スキルを発動させる。
「「隠密」」
ガラガラガラガラと、大きな音が鳴り、隠し扉が開く。
そして、そこからリッシュが階段を降りてき、牢屋の前で立ち止まる。
その瞬間、俺が手で合図をし、階段を一斉に駆け上がる。
そして、リビングに飛び出し、先ほど通った食堂の扉に手をかける。
このまま行けば抜けられる!
カチッ。
それは、扉に鍵がかかっているような音だった。
そしてドアノブは回らない。
「なに!?」
そんなことがあるのか。確かに先程侵入した時、この扉に鍵は無かったはずだ。
「......魔法!?」
声を上げたのはフェアリーだった。
「......簡単に出れると思わない方がいいですよ」
声がした方を見ると、この屋敷の主であるリッシュが立っていた。
「.........っ!?」
ーーーーーそれも隠密を使っている俺たちの方を完璧に向きながら。
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