18/フェアリーの話
「私は......フェアリーのフェール。フェアリーの森って呼ばれてるフェルドってとこに住んでて.....今日の朝、いつもの日課の散歩にお兄様と行ってて.....」
「うん。」
「お兄様が買い物するためにお店に行ってる間に.......あの、貴族って人が急に来て、私はスキルが開花してないから、抵抗できずに、拘束されて.......」
「なるほど.....」
「いつも通りの日常だったはずなのに、そのまま連れてかれて気づいたらここに.....」
ランセニュの情報、先程のリッシュ本人の話、そしてこのフェールの証言。
全てが確実に合っている。リッシュは最悪の奴隷商人だ。
すると、シュピィがフェールにしっかりと目線を合わせて言う。
「話してくれてありがとな。私たちが絶対家に返してやる。」
シュピィに合わせ、俺も微笑む。
「ああ。とりあえずここから出よう。」
シュピィが少女の手を引き、階段を一緒に登る。隠し扉というのが内側から開くのか確かめるために。
「......やっぱりダメか。」
先程まで隠し扉だった場所は綺麗に閉まっており、それが本棚の裏側だとは思えないほどの鋼鉄の壁になっていた。
しかも内側には隠し扉を開けれそうなものは何も無い。
「これ、どうにかして壊せないのか?」
俺がシュピィに聞く。
しかしシュピィは首を横に振り、
「無理だな。私でもこんな固い壁は壊せない。」
「........どうするか。」
俺は少し考える。
そして、ひとつの方法を思いつく。
「一か八かだけど、これしか無いか......」
「なんか思いついたのか?私はなんでも乗るぞ!」
シュピィにそう言われ、俺は話す。
「賭けになるんだけど.......」
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