14/屋敷
「なんだよニーちゃん、やけに褒めるな。」
「いや、別に。」
「とりあえず、中に入るぞ。ニーちゃんも知ってると思うけど、私からは偽装した部分が半透明に見えてる。だから私の後から来てくれよな。」
「分かった。」
そう言うとシュピィは偽装がかかっている窓を抜け、中に入っていった。
そしてそれに続き、俺も入っていく。
そこは装飾が施されている小部屋だった。
ベッドが一つと棚が一つ。
おそらく客室のようなものなのだろう。ランセニュによると、こういう客室のようなものは貴族の屋敷には何個もあり、そのほとんどが普段は使われていないそうだ。
「侵入する場所としては最高な所にでれたな。」
「だな!」
俺たちはここから奴隷が捕らえられているという地下に行こうとしている。しかし、この屋敷内の情報はほぼないので、手探りで探すしかない。
「とりあえず、まずはあからさまな階段が無いから探すぞ。」
「ああ!“隠密”!」
「“隠密”」
俺たちは隠密を使い、姿勢を低くしながら廊下にでる。
廊下もやはり装飾が綺麗に施されている。そのほとんどが白と赤と金で作られており、ここに住む人の完璧主義さを表しているようだった。
「すっげえな。けど、すごすぎて私、ここに住んでたら辛そうだ。」
シュピィの考えはすごくわかる。廊下をすすんでもすすんでも同じ装飾が左右にならんでおり、最初から動けていないのではと錯覚するほどだった。
「なんだ?」
今まで同じ扉が並んでいた所に、一つだけ異様に豪華な扉があった。
「......入るか?」
俺がそう言うと、シュピィは少し考える。
「もしもリッシュの部屋だったとしたら、ここに本人がいる可能性があるな。」
確かにそうだ。できれば本人には会いたくない。
「.....いや待てよ?最悪逃げ切れればこのフードのおかげで顔はバレないし平気なのか。」
「.......行くか。」
シュピィと頷きあい、豪華な扉を開けた。
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