11/初仕事
「ということでおさらいをするぞ。」
バーに俺とシュピィ、ランセニュ、そしてマルシャさんが集まり、ランセニュの情報から義賊として何を盗むかを話し合っている。
今回のターゲットはこの町の貴族、「リッシュ・トロイア」。メガネに高身長で、俺も町の人もすごく真面目な貴族だと思っていた。
しかし、ランセニュの情報によるとその裏の顔は奴隷商人をやっている大悪党。
しかも恐ろしいことに普段彼が乗っていた竜車を引いていた2頭の竜のうちの片方が竜ではなく、木で作られた人を中に入れて運ぶための機械であり、そこに奴隷を入れたまま堂々と運んでいるらしい。
さすがにこれは俺もランセニュを疑ったが、シュピィとマルシャがランセニュの情報が間違ってたことはないと言うので、信用するしかなくなってしまった。
「とりあえず明日、俺とシュピィが竜車に近づき、その情報が本当かどうかを一応確かめる。そして本当だった場合、この貴族の家にその後に潜り込む。」
「あぁ〜そうだな。そこで盗むならまずは奴隷だ。義賊としての働きっていうからには人助けって奴をし、そして金も盗む。そうだろ?」
「ああ。だけど問題はどうやって家に入るかだな.....。」
「私とニーちゃんが“隠密”で入るしかなさそうだけど、そうなると竜車について行ってリッシュとかいう奴と一緒に入んなきゃだな。結構ハイリスクだ。」
俺が顔を顰める。
「ま、でもそれしかないよな.....。」
「とりあえず当たって砕けろだな。」
シュピィがそう言うとランセニュが笑う。
「砕けられたら俺が義賊の仲間になった意味がなくなっちまうだろ〜が。」
「だからこそのお試し期間だろ。まあ見といてくれ。」
明日の一連の流れが決まった。
これから俺たちの初仕事が始まる。
「シュピちゃんもみんなも、絶対帰ってきてねー。約束。」
そう言うとマルシャは黒いフードを渡してくる。
「これって.....。」
「昨日シュピちゃんと姉さんと作ったカイトくん専用のフードだよー。これ使って頑張ってねー。」
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