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真のトイレ(ギャグ)

ジャンルは「夜」「少女」「真のトイレ」お題はギャグコメ

真のトイレとはなにか、これは考察しがいのあるトピックだ。

まず、トイレがトイレとして成り立つための必要条件はなにか?

それは用が足せるということだ。間違いない。

だが、これを機能的な側面で受け取ってもらっては私の意図にそぐわない。

下水道への処理機能だけではどこまでいっても「ただの」トイレでしかないのだ。

今回は、「ここで用を足したい」という情緒的な問題としてトイレの在り方を考えたい。

例えば、誰しもが不潔な臭いが漂う公衆トイレをわざわざ使いたくないはずであり、機能面だけを語っては排泄の真髄に迫らないのだ。

では、トイレを「真のトイレ」と呼ばしめるのに必要な要素とはなんだろうか。

一般に洋式や和式、立小便器など、特殊陶器として一定のフォルムにかたどられたものこそがトイレの要件として想起されるだろう。

だが、そのステレオタイプに固執するようでは排泄の本質は語れない。

いくら小ぎれいに作られて維持された便器でも、肌を刺す冷たさ、硬さ、無機質さ、どこまでいっても冷酷な処理機構に過ぎないのだ。

もちろん、ただただ屎尿をぶちまけるだけなら、そのようなテンプレートでも構わないだろう。

だが、気持ちよく用を足し、私たちの情緒を満たすには致命的に温もりが足りない。

落ち着いて、全てを解放出来る、そんな空間。

優しくて、体機能のままに心身を委ねられる、そんな安心感。

それこそが「真のトイレ」なのではないだろうか。

「真のトイレ」を前にしては、“小便を自然と垂れ流す”ことにすら疑問を抱く余地はない。

だとすれば、ここがまさにそれ、This is itだ。

現に私はこの心地よさの中で、脱力してしまった。


主に膀胱の部分が。


ベッドの上で広がりゆく温もりがまどろみを溶かしていく。

じわじわと、衣服とマットレスの布地に人肌程度の温かな液体が染み込んでいく。

諦めて全て出し切った瞬間は何にも増して爽快な気持ちになった。有頂天ってやつだね。

漏らしていることに気が付いた瞬間は血の気が引いたものの、「もう手遅れだし最後までしちゃえ」とか思いながら一人問答をしていたとか、そんなことはないさ。

ただ、一つ問題があるとすれば、それは家族が起き出す前に粗相を隠さなければならないということだ。

本年16歳になる高校生の私ではあるが、これは致し方無い現象だと我ながら思う。

全ての人間はお布団の中では等しく無力なのだ、いくら年を重ねようとも寝込みの緩さには抗えないものさ、全くもってね。 

夜更けの風呂場、問題の真には迫れなかった少女が一人、アンモニア臭漂う寝具をせっせと手洗いするのだった。

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