序章
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序章を中盤の戦闘の描写に変更しました。
「じゃあ、行くとするか」
「ああ」
紅い髪の青年に対して、白金色の髪をした青年が応える。
「ティエラ! あんたは、ルーナの後ろにいろ! ルーナ! ティエラを頼んだ!」
「ソル……お前に言われずとも分かっている――姫様、私の後ろにいてくださいますか――?」
亜麻色の長い髪をした少女は、これまで二人が罵りあっている姿ばかり見ていたからか、少しだけ戸惑いを感じる。
ただ、言い様のない安堵も、胸に去来していた。
「宝玉の力じゃ効かないんだろ?」
「残念ながら」
紅い髪の青年が、片手に持っていた神剣を両手で持ち直す。
「剣の神器じゃないといけないってことは、『あれ』が封印されていた……」
「珍しく察したな」
白金色の髪の青年が、詠唱を開始する。
紅い髪の青年は、再生途中にある『化け物』の前へと走る。
「一応、『あいつ』のためにいるんだろう、俺達は!」
いつもいがみ合っていたのは嘘のように、二人は連携が取れている。
どちらも神器の守護者なのだから、本来こういった姿が正しいのだろう。
(まさか、竜の正体が……)
大地の聖女と呼ばれし少女は、胸の前で腕を組み、同じ神器の守護者である二人の無事を祈ると共に、癒しの術の詠唱を始めたのだった――。




