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5. 第二章 覚醒の兆し〜心配

 精神的に疲れた。ゆっくり風呂に浸かりたい。


「ただいま」


御者にリアナを預けてからは、なるべく人目を注意しながら家へ帰った。またあの連中に見つかったら帰れたものでは無いし。玄関のドアを開けて中へ入ると、目を見開いて驚いた様子のルティアがいた。近くにメイドのイリア・チェーンさんもいた。彼女たちはとても驚いている様子だが、俺も驚いている。


「もう、遅いよ・・・・バカ」


俺のところまで来て抱きつき、耳元でそう言った。泣いている。いつもならこの時間はまだ学校にいるはずなのにどうして・・・・。


「あんな事があったのに全然帰ってこないから、巻き込まれたんじゃないかって心配したんだよ?」


あんな事? 波動関連のことだろうか? それから数十秒間、ルティアは何も話さずただ泣いていた。必死にしがみついている。両親が未曾有の島消滅事件で、帰る時期が不明になって不安な中、俺がさらに不安を煽るように心配させてしまった。心配させないために俺がいたのに、何してんだ。ただただじっとして、ルティアが泣き止むまで待とうとしていたら、疑問に思っていたことをメイドのイリアさんが説明してくれた。


「レイド様、本日のお昼過ぎ、異常濃度の波動が大通り付近で発生したと学校で報告があったそうです。危険なので、ルティア様は学校で待機する予定だったのですが、レイド様の安否を気にされてご帰宅なさいました」


あんな事とは、やっぱり波動のことだったのか・・・・。俺には波動が何だったのか、いまだによく分からないけど、相当なものだったのだろう。大通りという場所が一致するため、大量気絶は波動と何か関係があるような気がする。


「ルティア様、レイド様はご無事でしたので、少しお休みになった方がよろしいかと」


「ん・・・・。分かりました。レイド、連れてって」


「ご用命の際は何なりとお申し付けくださいませ。では」


イリアさんはどこかへ行ってしまった。ルティアはいつも君付けで呼ぶのに、呼び捨てにされた。なんか怒ってる・・・・。言われた通りにしよう。心配させてしまったし、可能な限り甘えさせないと。


「゛ん゛ん゛ん!」


「あのー、ルティア様? 着きましたけど」


俺にピッタリ引っ付きながら、んーっと唸って首を振る。休ませようとルティアを連れて彼女の部屋へ来たが、どうやらお気に召さなかったようだ。




結局俺の部屋のベッドを占領してぐっすりと眠っている。隣でクロが心配そうにルティアをじっと見ている。そんなに不安がるほど波動とは恐ろしいものなのだろうか。色々考えていると、ノックする音が聞こえた。


「どうぞ」


「レイド様、少々早いですが、夕食の準備が整いました。ルティア様はお疲れのようですので、そのまま寝かせてあげてください」


メイドのイリアさんがベッドの縁に座っている俺の近くへきて、小声でそう呟いた。起こさないようにそっと立ち上がり部屋を出る。クロも着いてきた。ご飯には敏感だな。食堂へ向かう途中イリアさんに話しかけた。


「イリアさん、ちょっと相談したいことがあるんですが・・・・」


「何でしょうか」


こちらを見ずに返事だけ返してきた。いざ聞こうとして、今更ながらイリアさんに今日のこの出来事を話すべきか迷ってしまった。俺が迷っているとイリアさんが口を開いた。


「ルティア様に相談されてはいかがですか?」


「いや、ルティアには無理です」


波動であれだけ心配されたんだ。これ以上は。ご両親に頼むと言われた矢先、こんなことではダメだろう。互いに無言のまま食堂へ着き、イリアさんがドアへ手を置いて止まった。


「レイド様がご入浴を済ませて寝る準備が整い次第、部屋へお伺いします。その時話してください」


話を聞いてくれるみたいで助かったような困ったような・・・。


「分かりました」


俺の言葉を聞くと、ドアを開けて食堂へ入っていった。俺も後に続いて入る。


「私と部屋で2人きりになっても変な気は起こさないでくださいね。そういうのはルティア様にお願いします」


「大丈夫ですから! というかルティアにそういう気を起こすのもまずいでしょう!」


それこそご両親に顔向けできないだろ。


「静かにしてください。ルティア様はお疲れなんです」


「大声出させるようなこと言わないでくださいよ」


イリアさん時々からかってきたり、変なこと言ったりするんだよな。いつも返答に困る。




 イリアさんの作った美味しい料理をクロと一緒に堪能した後は、ゆったりと1人で風呂に入る。


「ふぅ」


ザパーっとお湯が溢れる。お風呂は十分すぎるくらいに広く浴槽も大人四、五人は同時に入っても余裕がありそうなほど大きい。この広さでも十分だが、さらに大きい浴場もある。さすがにひとりで入るには落ち着かないので、いつもこっちの浴室を利用している。湯加減も良く、ずっとゆったりしていたくなるほど気持ちがいい。ここの風呂場は大きな浴槽一つと、シャワーが二つある。シャワーは特にすごい。シャワーに近づくと勝手にお湯が出る。俺が目の前に立って丁度みぞおち付近の壁に魔法陣が描かれているため、おそらくそれがシャワーを動かしているのだろう。風呂に入っていると、頭が回る。今のうちにイリアさんにどう話すのか整理しておかないと。波動とは何か、気絶の原因は何かなど分からない事が多くある。謎の剣や黒服連中のこともあるが、話すべきか迷う。というか俺はここにいていいのか・・・・。顔を見られている。黒服にも謎の同じ制服着た魔法エリート連中にも。狙われる危険性を考えたら、いるべきではないかもしれない。んんー。頼むと言われてすぐこれだ。役に立たないな俺は・・・・。心配かけてばかりだ。


「にゃー」


「おぉクロ、お風呂入りに来たのか?」


浴槽の近くまでとことこ歩いてきた。足で水をつついてはビクッと驚いて様子を窺っている。何だ、水嫌いなのに入ってきたのか・・・・?


「クロ待ってー。私がちゃんと体洗うか・・・・ら」


ああ、そういうことか。クロが一人で来るわけない。今俺の前には、一糸まとわぬ姿のルティアがいる。湯気ではっきりとは見えないが、首から肩、胸から腰、足に至るまで全ての曲線がとても綺麗で、見惚れてしまった。上から下まで舐めるようにしっかり見た。気づいたころにはルティアは顔を真っ赤にしてぺたんと座り込み、隠し切れない大きな胸を何とか両手で覆っている。慌てて後ろを向いて謝った。


「つい目が離せなくて、ごめん」


「み、見すぎ、だよ。でも悪いのは確認しなかった私と、誰も使ってないって教えてくれたイリアさんだから謝らなくてもいいよ」


今さっきまずいだろって言ったのに、あの人は何してくれてんだ! 


「にゃぁ!!」


好奇心で魔法陣に向かって飛びつき、シャワーを作動させてお湯を浴びてしまったクロ。驚いてルティアに向かって飛んで行った。


「ふふ、何してるの、クロのお馬鹿さん」


「もう上がる」


これ以上いると良くない。限界だ。


「え? あ、ちょっと!」


ルティアが何か言おうとしていたが、無視してそそくさとお風呂場から出た。危ない。ルティアに何かしてしまったら取り返しがつかない。落ち着け俺。落ち着け・・・・。


「くそくそくそっ! あれは見ちゃうって!」


浴室のドアを閉めてそう呟いてしまった。その後、イリアさんに会うまで、ルティアのあの姿が頭からひと時も離れず悶え続けたのは想像に難くなかった。


面白い、次が気になる、そう思っていただけるよう頑張ります。感想など是非ともお願いいたします。

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