21話 罰当番
はあああああああああああ????
魔法使えないってうっそでしょおおおお!!!?
うわあもぅマヂ無理…。
帰宅しょ…。
って、まだ一限だった…。
つらみ…。
やむ…。
ふんがー!
呆けていたら女児に囲まれていた。
「貴女、下級クラスに移ってくれないかしら?」
「いいですよ」
もうどうでもいいですよ…。
魔法が学べない学校に一体何の意味があるってんですか。
今更小学一年生に混じって一体何の勉強をしろと。
この際退学でもいい。
いや、学費払ってしまったから退学はちょっとアレか…。
学費、返してくれたりしないかなあ…。
などと考えている間に、女子Aに罰当番を押し付けられそうになった。
そしてそれを男子Aに助けてもらった。
どっちも名前分かんねえ…。
あと罰当番って結局何やるんだっけ?
教えて偉い人!
「更に言うなら、降級も生徒が勝手に決められるとは思えない」
「あ、貴女!まさか最初から分かっていて…!」
?
ごめん、話聞いてなかった。
仕方ない…ここは笑顔で誤魔化しておこう…。
ニッコリ。
その直後に二限の担当講師が教室へ入ってきて、女子は自席へ帰って行った。
続く算術の授業は無難に終了。
また絡まれても面倒なので、私はさっさと教室を出た。
階段を降りている間にエルダー先生とバッタリ。
「ちょっと来い。補講について話がある」
「先生…私…やっぱり魔法の才能無いんでしょうか…」
改めて言葉にすると更に気持ちが落ち込んだ。
神様め…言語チート付ける前に魔法の才能を付けてくれよ…。
ヴァインも才能無いなら無いって言ってくれればよかったのに…。
「いや、才能はあるはずだ」
え、マジで!
「本当ですか!でも、今日、全然魔法使えなかったんですけど」
「うむ。私も今日上手くいかなかった理由と、対策を考えてみた。詳しくは補講で話す。明日の授業後は空いているか?」
「はい!」
「では明日は教室で残っているように」
私の心は一瞬にして浮き立った。
まだ魔法が使えるかもしれない!
「あ、そういえば、さっき罰当番を肩代わりしろとか、特待生クラスから下のクラスへ移れとか言われたんですが」
「オリヴィアか?全く…どちらもダメだ。明日私から言っておく」
やっぱダメか。
オリヴィア様残念でした。
「そういえば罰当番って何やるんでしたっけ?」
「授業後の教室の清掃だ」
掃除か。
めっちゃ普通やな。
「廊下にバケツ持って立たせるとか。床で飯食わせるとか。ロッカーに閉じ込めるとか。夜の森に素材採集に行かせるとか。書いた文字が手に刻まれるペンで反省文書かせるとかじゃないんですね」
「そんなことして何になるんだ…」
確かに…。
「言って分からんようだから、平民の仕事をさせ、身分差が無いことを体で覚えさせようと思ってな」
「成る程〜。あ、教室に忘れ物したのでちょっと戻りますね」
教室の前ではオリヴィア様の付き人らしき人達がオロオロしていた。
掻き分けて扉を開けると、オリヴィア様が一人立ち尽くしていた。
「すいません、少し忘れ物をしまして…」
言い訳をしながら入室。
まあ、忘れ物なんかしてないんだけどね。
罰当番が思いのほか軽かったので、ちょっとお手伝いに来たのだ。
掃除を代わるだけで向こう様の気が済むのなら、代わったほうが得だろう。
オリヴィア様が振り返り、目が合う。
と同時に彼女の瞳から涙が溢れ出した。
「何しに来たんですか!ひ、冷やかしに来たんですか!?貴方の所為で、もう、散々ですわ!うわーん」
しまった、泣かしてしまった!
アカン、節子、どないしよ!