祈り、ただ、このちいさなもの達の為に。
41部に、この詩の《簡易版》と銘打った詩をアップしている。
今回の詩が長すぎたと思ったのかなぁ?
理由は忘れたけど、《簡易版》にしてコンパクトにしている。
で、きょうは、その本来版。
ちょっと長い(のかなぁ?)ですが、最後までお付き合いくださいね?
でわ。
蛇が消えた。
むかしの映像を観ながら
戻って来てくれと願う。
もう、無理かもしれない、
と、諦めかけて
だから、私は、もう祈るしかない。
ねずみを見据える眼から
チロチロ出し入れする舌のほうへ
画面は流れ 残酷の直前を映す。
檻のなかにはビニールを敷いて
流れ出る血に、備える。
白蛇は赤い眼で、 ねずみを観察し、
黒蛇は鎌首を伸ばして、とぐろを解く。
騒がしい音を立てたり、しない。
斜め上へ伸ばす舌先が牙沿いに口の中へ。
風呂場で紋白蝶の翅が蟻に運ばれている。
光苔の洞窟へいざなう海辺の町に
かすかな西日が射す、黒蛇が這う。
光は輝きを増し星となり
嘘を飲み込み 毒を飲み込み
地を這う港町の物語の真実を
照らしてくれる月、白蛇の牙が光る。
部屋に残された空気に笑い声の欠片があり、
流れつづける川に夢のカクテルのあぶくがある。
すり抜けた青ガラスのコップが廊下に落ちたとき
落とされたガラスコップの傷が緩やかに割れて
染み渡っていく、
コップの水を
白と黒の蛇2匹は、
絡み合いながら、
眺めつづけている。
瞬きは停止し、
白と黒の蛇の似た者同士のなれ合いと、
わかっているはずのお互いへの不可解な怖れが、
ようやく、あきらかになり、
風に吹かれる。
白黒写真のなかに封じ込められた蛇は、
ピンク色の、不似合いな夢を見ているだろうか?
どこへ、消えた、蛇よ?
森の海に迷い込んだ私は蛇を探して
黒髪振り乱して道無き道を駆ける。
愛の園に置き去りにされた私は蛇を追って
波のまにまに視える海ヘビを探しては、
むかしの蛇の写真と見比べている。
ただ、それだけのはなしだ、
あてどなき。
あてなどないはなしさ。
歌を拾った。
心に、落ちていた。
よみの道をゆく
もはやいらない心
戦いずきなくちも
ねじれあがる笑顔
だれときのう戦い
だれをきょうは憎む
蒼いそらにいちわ
もずが飛んでいるわ
忘れさせておくれ
ふたり信じたひびを
あたたかかった冬を
のんで愛したよるを
忘れさせておくれ
楽しすぎてつらい
あまいあまい血をなめ
なめあい愛したよるを
忘れさせておくれ
こえはださず眠る
あなたいない時は
寒い寒い寒い
あなたいない心
痛い痛い痛い
心よみをゆくよ
心よみをゆくよ
最後までお読みくださりありがとうございます。
また、お会いできる日を楽しみにしています。
でわ。




