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蛇よ、あなたに
蛇がめざめ
わたしをみるのだ。
床にこい影で
悲しみをぬいつけている
たまらない、というと
がまんしてね?
と優しく慰め、
なにか捜しに、外へ。
蛇の牙は
さやさや 音をたてて
わたしの足の爪を削ろうとする。
だれよりもちかくにいる、
だれよりもとおくで笑う、
蛇の目元がキラキラする。
どうしようもない
好き、が、
さいごまでとまらない夜。
なにひとつ
叶えられない聖杯が、
わたしに厄災を
よんでしまったようだ。
命賭けた祈りで立ち上がり、
奇跡の人となったこの星空の下。
その
抱きしめたくなる蛇が、
この街の
ネオン街のなかを
わたしを捜しに
裸足で走ってくれたとき、
蛇よ、
わたしは
あなたに惚れきったのだ。
あなたの夢になりたいと
バカげた祈りを月に捧げたのだ。
へへへ、
月は、ほほえんでくれたから、
オールオーケイだと、
もう、思っちゃうからね?




