『駄目なんです』
駄目なんです。
私の心は、じふんを許す、
あれほど悲しい想いをさせても、
私の心は、痛まず鈍い、
嘘をついても、つかなくっても、
私の心は、忘れてしまう、
私の心は、駄目なんです。
なにかを、どこかに、おきわすれたよう、
心は涙を、流さない。
責めない、悔いない、傷つかない、
感性麻痺した蛇より冷たい。
駄目なんです。
が、
今は駄目だと感じている、
この想いさえ、すぐ磨耗する、
そしてひとを、傷つける。
駄目なんです。
私は人の世三千世界に
いてはいけないひとの一番。
傷つけるだけ、傷つける、
傷つけるだけ、傷つけて、
なのに私は、それさえ忘れる。
むかし、おそらくは私の身近に
よく似たようなひとがいて、
私は、そのひとをちかくで観察して、
(こんな風にだけは、なりたくない)
と、かんたんに、おもっていたとおもう。
そのひとも
好きでそうであるわけではないとか、
考える一瞬さえなかったとおもう。
駄目ですねぇ。
ええ、駄目ですねぇ。
私はこのまま駄目なまま、
そうして一生すぎるんですねぇ。
受け入れがたくても、
傷つくひとが、いっぱい、いても
私はおそらく、変われない、
私はひとを傷つけつづける。
だから私は、もう、喋らない。
だから私は、もう、喋らずに、
静かに死ぬまで、生きるのですねぇ………




