あぁ、もう一度だけ愛たいなぁ。《蛇編》
しっかし、しかしだよ?
今日も退屈退屈。
学校もいやだわ、勉強もいやだわ、体育もいやだわ。
なにもかもいやだわ、
いやでいやでしようがないもん。
安らぐところ、どこにもないじゃない。
はなし相手も、ほとんど、いないし。
なんのため、来てんの?
わたし、ワカンネ?
自分をはなせる人が羨ましいのよ、
ほんとは、
わたしもいっぱい話があるの、
べつにだれでも、良い。
傷つけない人なら、美人じゃなくていい。
保健室の先生、
そういうんじゃないけど
いっしょにいると、安心安心。
そういう学生時代が、あった。
愛に学校行ってた。
間違えた。
「逢いに」だったっけ?
「会いに」だね。
はなせる人、保健室のお嬢さん先生だけ、
優しいんだ。
わたしがどんなに泣いても、キョロキョロ
目を逸らして、見ないふりしてくれて
たまーに、自分の学生時代の話もしてくれて。
あの美人(ホントは綺麗だったよ)先生、
に、またあいたいなぁ。
なんもかんもいやだったけど、
ホントいえば、どっか行っちゃいたかった
毎日だったけど、けどね、
先生にお会いできるから、
学校へいってたよ、
嘘偽りない、真面目な話です。
ただねぇ、
先生のおかげで
わたしも最後の心だけは捨てずに済んだけど、
先生のおかげで、へんな愛情表現、
覚えちゃいましたよ。
先生は、
いつだって、なんか冷たくて、
事務的にわたしに接したね?
けっして同情してはいないと、
わたしがそう思えるほど。
だから、わたしみたいなヤツにも、
だから、よけいに優しさが、ちゃんと沁みてた。
だから、そのあとわたしの優しさは、
(自分で優しい、いうな!)
わたしの優しさは、
なんか冷たい
まるで蛇みたいな
まるで先生の偽物みたいな
まるで他の人に伝わらない
まるで先生の廉価版みたいな
愛情表現になっちゃったじゃないの?
ねぇ、先生、
また、会いたいや、
いま会ったら、
今度はわたしとどっちがクールか、
どっちが蛇っぽいか、
比べてみよっか?
蛇っぽさには、自信があるんた、
だって、表情、少ないし。
でも、
そんなこと関係なく、
たぶん、わたしの負けだけど、
他の人に対してなら、
氷の微笑でいられたとしても、
先生、
ただひとり、あなただけには、
ぜったいデレデレ笑っちゃう、
目と目が合っただけでね?
こころ、蛇のくせに、ね?




