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蛇だって生きているんだ、生きているんだよ。

蛇はかわいそうなものと

きまってないよね?


ぼくはそう思う。

目も合わせないくせに、

心を『鷲』掴みにして

(蛇のくせに)

じぶんが喜ぶしぐさ、

ぼくに見せつける。

じぶんが一番だものね、

媚びを売っちゃう

しっぽふりふりしちゃう

愛想のいい

蛇もいないでしょう。

(蛇だけにしっぽないしね)


それに蛇は哲学的な女流詩人のようだ。

うたう唄は、美味しいものを

食べるうただ。

きっと、

食べなければならない、

とか、ほざくんだろう。

あのねちっこい目で

ジィ〜ッとぼくを見つめて。


『蛇は それでも ながく いきるため』

『艶めかしい鎖骨を 食べなければ ならない。』


そんな唄を

まとわりつく

しつこい深情けの女性のように

ねっとりとささやき声でうたうだろう。


夥しくも、けがれ過ぎた

ぼくのキラキラしていたものは、

もう、蛇に食べられちゃった、

蛇って、悪食あくじきだよね?



蛇はかわいそうなものと

きまってないよね?



かわらない

たいせつな

ものを捨て去って、

忘れたい

醜悪な

心を積み上げる。


かつて生きるために始めた

決死の覚悟の自画自賛で

自分のための嘘の世界から

自分を救おうとしている。

それは間違っていないとしても、

私は醜くなってしまった。


この世のありとあらゆる忘れたい想い出を

むかし蛇だった頃、

憧れの女性から貰った消しゴムで、

ちからをこめて消し去る。

なにも残さず、消し去る。


昨夜の夜空から釣りあげられた

おたまじゃくしを食べるなよ。

朝も静かな市場、

ようやく明けてくる冬のさなかに、

寂しくて泣かずにいられない

蛇もいないでしょう。


蛇は それでも したたかに 生き抜くために

じぶんを愛する人間の

艶めかしい鎖骨を 食べなければ ならない。


そして蛇は、

長生きをしなければならない、

誰よりも早く死ぬ覚悟をひけらかして。


泣かない蛇は、いないはずなんだ。

泣かない女が、いないように。


ノースネーク、ノークライ、ね?


(長生きしなければ、財布にされちゃうよ)


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