表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/180

蛇の彼女

死にたくはない蛇も

野山の小さき神として生きていれば

その水性高き躰を痛めつけることもなく


死にいそぐおろかなやつとして

(想像上の)指をさされることもなく

泣けない赤い目をぬらし

最後の力で這い進むこともなかったのに。


彼女のマンションまでたどり着けば

生かされる運命を

(想像上の)てのひらに掴み取れるのか?

もはや時はなく 走りゆく酉は飛ぶのか?


だいいち部屋番がわからないし

わかったとしてもオートロックなら

想像上にしか押せる指はない

時もなく 死にゆくさだめを受け入れた。


ただあの山へかえる自由もうしなった

すべてをほうりすてたドブ川には

いちりんのちいさくて白い花が

咲いていることを彼女はしらない。


その蛇の

悲しかった とち狂った生命の秘密は

真夏のてりつけるま白なひかりを

そいつが干からびるまてあび続けたこと。


彼女もその事実を知っているが

「蛇は死んで、財布の皮になったので」

としばらくは笑い話にして

あとはいつもと同じ、思い出すこともない。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ