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円環の月

にじむ冬の満月

石油ストーブの教室から

見上げた定時制の夜。

校庭に、

クラブ活動の少年も少女もなく、

ぼくは、万華鏡を覗いて

昼間の高校生活を探るが、

惜しむらくは、凍りついて、見えない。

ぼくの息だけが、綺麗だと、

ずいぶん孤独な独り言も、覚えたよ。

でも、歩くと

ぼくの息は清潔ではなくなる。

気がする

オロナミンCを飲む。

いまの高校生らは、

そんなもの、飲まないだろうな、

真っ暗な階段で、こけかけて、自嘲。

バカッ、蛇のプライドは、なくすなよ。


円環の月から降り来る、

清らかな音楽。

まるで、つまらないはずの、

この負け続きの世界を、

楽しませてくれるし、

枕を濡らさせることもある。

七色の童話では、

伝えきれない、心を溢れる独り言、

セリフの朗らかさは、

私を優しい気持ちにさせる。

いや、本当は、そこには、

悲しすぎる意味がある。

おそらくは、残酷で、

人の心を弄ぶ、卑劣さ。

ああ、同じ蛇として、見習いたいものを。

人を惑わせる上手な階段の上り下り。

私は、その上り下りを繰り返して、

その階段を『蛇の道』と呼ばせることとした。


ちっとも、上手じゃない?


なら、蛇のプライドもなんとか保てた。

そんなことには、なれていないんだ。



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