表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

死体の妙

依頼を受けた探偵、真中は松永家の調査に向かうが…

私は行方不明の松永里美の情報を得る為、彼女の自宅へ向かっていた


そう言えば以来主の榎本さんから、預かった手紙を読んでおいた方が良いだろう


私は近くのカフェに立ち寄ると、コーヒーを頼み手紙を開く


佳奈へ―

この手紙を読んでいる時、私はこの世界ではなく、異なる世界へと連れていかれているのでしょう。


私の両親たちは信用が置けないので、貴女に手紙を残すことにした、ただしこの手紙を貴女が読んでいる時点で、私は正常では無いかも知れません


私の両親はどうやら異界の神々を信仰している、ただの宗教ならば良かったけれど、そうではないみたい…音がする


音が私に近づいてくる


最近は何処にいても音が聞こえてくるの


そして、だんだんとハッキリ聞こえるようになると、それは音ではなく


何かの声である事がわかった


なんの声なのか、理解してしまえば


私はこの世界からいなくなるんだろう


決して私を探さないで、親愛なる榎本佳奈へ、松永里美


彼女はさらわれた?

教徒に?

それとも、異界の神…そんな事があるのだろうか…バカな


コーヒーを運んできたウェイターのお陰で、私の頭は現実世界へと引き戻された


彼女の家に着いた途端に普通ではない違和感を感じとる


門構えからして数年放置されたような荒れ方をしていた


呼び鈴を押す、呼び出し音がしていないようで、カシュー、カシューと空気の抜けるような音がするだけだ


門は立派な外見とは裏腹に鍵はかかっていない


私は静かに侵入する


中に入ると雑草に阻まれた玄関が見える


草をかき分け扉の前に立つ


…ノブは外れかかっていたが、本当にここであっているのか?疑問は消えない


しかし表札は間違いなく手紙の主がここにいたことを示していた


いつ何があっても良いよう、ドアを開いたままにしておく


電気は勿論ついておらず、家の中も床は腐っているのか、抜け落ちてもおかしくはないほど、じっとりした感触を靴に返してくる


まるで、ここだけ時間が加速したかのような錯覚に陥る


それならば家が異常に劣化しているのも頷ける


頭を振り妙な思考を振り落とす


バッグの中から懐中電灯を取り出すとスイッチを押し、辺りを見回す


時間は昼時だと言うのに薄暗い


そもそもこの家の住人、つまり行方不明者である松永里美の両親は何処へ行ったのか…


腐る床をゆっくり進む、突き当たりの部屋のドアが半開きになっていた


そこまで行くと私はカビの様な臭いに気づく、更には何かが腐るような…


部屋に入ると目に入ってきた光景に驚く


人が死んでいる、それも二人


恐らくは彼女の両親なのであろう


携帯で刑事課に勤める友人に連絡を取った


『良くない知らせかな?』


電話口の友人は事情を良く知った様子で問うてきた


『まあね、話が早くて助かるわ』

『君からの連絡はいつもそうじゃないか』


やれやれ、とため息を着く

『直ぐに行くから荒らすなよ?で、現場は?』


私は彼女に住所を伝え電話を切る


さて、現場検証をされる前に手がかりを掴まなくては


死ぬ直前の、死因に近い何かがこの部屋にあるはずなのだ


ざっと見た感じだと、ここはキッチンのようだった


死体を見回したところ、外傷がひどい


不思議なのは致命傷と思われる部位が別々、というところか


例えば女性の方は顔があるのでわかるが、もう一人の遺体は上半身が…消えている?


残された服装を見るに恐らくは中年の男性だろう、と先程は判断した訳だが


実際に検死を待たねばこの辺りはわからないだろう


そして不思議な点はまだ残っている


これほどの大きな損壊が見られると言うのに、現場には血液が残っていない点


上半身が消えていると言ったのはこれのせいなのだが


これは妙だ


しかも独特の死臭というものが全くない


家の扉は締め切られていたのに、だ


この家は何か変だ…


テーブルの上に箱があった


なんというか、とても綺麗な…私は無性にソレを手にしたい衝動に駆られ


その箱にそっと手を延ばす


『おい!』


ドキッ!として声の主に目を向ける


『荒らすなと言ったはずだが?』


『あ…あぁ、早かったのね』


いつ来たのだろう、全く気づかなかった


『ちょっと…大丈夫なの?』

『…ん?』

『何かに見いられてたみたいだったぞ?』


まさかこの箱…これか…?


これは良くない物だ…


『一旦出るぞ』


彼女に腕を引かれ外に出る


『で、なんで君がここにいる?』

『見た?』

『あの死骸の事ならイエスだな』

『その娘の友人の依頼でね』

『2~3日前になにやらひと悶着あったとか』

『おかしな話』

私は名前は伏せて事情を話した


『娘はいない、ねぇ…』

タバコに日をつけると困り顔で考えている

『勘当されていたとも思えない』

『少なくともあの死骸、人の仕業とは思えん』

摩耶は煙を吐きながらそう呟く

『そうよねえ…』

『ま、検死が来たら送ってやるよ』


今日は一旦事務所に戻ることになった


お疲れ様でした

調査が長すぎる気がしたので

これでも削った方なんですが

いかがでしたでしょうか

次回は探偵事務所で、刑事の摩耶と真中の話になる予定

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ