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休み時間

「チョークがあるけど、どうする?」


 空き教室になにか、ラジオの題材がないか確認しにいくと新品同然のチョークがチョーク箱に何本か並んでいたらしく、アミさんが数本手に取りながら、投げるフリをしながら聞いてきた。


「どうするって、本当にアレやる気ですか?」

「まぁほら、試しにやってみたいんだよね」

「私もやってみたいではあるな」


 ナナさんまで、割と乗り気であった。

 まぁ確かに、こんな機会でもなければチョークを投げるという機会は訪れないかもしれない。


「まぁお二人がいうのであれば、別にいいですけど」

「やった、じゃあ座って座って」


 狙いがつけやすい様にだろうか前の席に誘導されて座らされる。


「その前に手加減して投げてくださいよ」

「分かっているって、まぁチョークってそんなに痛くないよ多分」

「多分ですか」


 まぁ投げたことも当たった事もないのだから、多分としか言いようがないのはそうだが、なんとも頼りない。


「ナナって治療できったけ?」

「軽いものなら、天使のたしなみだから安心するといい」

「ちょっと不安になるんですけど、怪我させる気ですか」

「いや、不安なら万全を期しておけばよいだろう」

「そうそう、万一がないようにしておくから、もしもの事があれば私と契約すればどうにかなるよ」


 悪魔と契約って縁起でもないことをさらりといってくれる。

 一抹の不安が出てくるが、まぁ天使のナナさんもいるしそう大事にはならないだろう。


「ところでチョークの投げ方ってどうすればいいんだ?」

「野球のように振りかぶってなげるとかじゃない?」

「いやダーツのように投げるんじゃないんですか?」

 

 野球のように投げたものが当たったときは凄く痛そうに思えてくるし、それならまだダーツのように投げてもらったほうが、痛さは軽減できるというものだろう。

 それに、漫画とかでは振りかぶっているのを見たことがない。


「両方試してみればいいんじゃない?」

「それもそうだな、アミのいうとおりだ」

「いやまぁそれはそうなんですけど、なんか納得がいきませんね」

 

 結局二通りのパターンを試す事にした。


「じゃあ授業を始めて、ヒナが寝ると投げるとするか」

「いや、そこまでこだわらなくていいから」

「ぱぱっとやりましょう」

「そうか残念だ、天の教えの授業もしてみたかったのだが」 

「よく眠れそうですねそれ」

「私を苦しめそうな授業よね、それ」

「心洗われる、いい授業なんだが」

「まぁともかく、投げちゃってください」


 顔を伏せてチョークが投げられるのを待つが数分してもまだ投げてこず、チョークがいつくるのかとドキドキしながら待っている身としては、なんか焦りがうまれてくる。


「ちょっと早く投げてください」


 言いながら顔を上げようとしたタイミングでナナさんとアミさんの両方がオーバースローで思いっきり投げた白いチョークがおでこに見事命中した。


「当たった、意外にあたるものねぇ」

「ヒナ痛くないか?痛いなら癒すけど」

「えぇまぁ意外に痛くはないですね、ただビックリしました」

 

 思いっきり投げられたにしては、さほど痛まない予想していた衝撃より軽かったのだろう。


「意外にヒナ頑丈なのね」

「違いますって、それより投げてお二人はどうでした」

「うん、別にどうってことはないって感じかな」

「そうだな、ヒナには悪いが当たったなぁと思うぐらいで、それ以上のものは得られなかった」


 どうやら物をなげて的に当たった感覚だけらしい。


「やっぱり授業中の一種のパフォーマンスなんでしょうかね」

「多分そうじゃない」

「授業中投げてこそのものかも知れないな」

「まぁ それより、片づけしてそろそろ買出しにいって、次のラジオの準備をしようか」


 ヒナさんが、なにやら拘りだしたのを察知してアミさんが手早く撤収を促し、それに私は乗っかり私のおでこにあたり床に落ちた割れたチョークを拾って片づけをはじめた。


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