肝試しって雰囲気で怖がっているところもあります、つまりは雰囲気、その場のノリです
廊下の照明をわざわざ消して、放送室からそれなりの曲をかけ、さらに夜の遅い時間となると雰囲気は変ってくるようだ。
懐中電灯で照らしながら、歩く速度も心なしか遅いような気すらしてくる。
女子トイレ、理科室、音楽室と回りながら、体育館へと向かう廊下もいつもより長い気がしてくる。
「まぁまぁ雰囲気でてきたわね」
「そうだな」
「ヒナ、口数少ないけど怖くなってきた?」
「まさか、考え事していただけですよ」
「言いだしっぺのミケらんは?」
「平気ですね、今のところ」
平気と強がったミケらんの手と私の手はつながっているが、その手は震えているようにも思え、さらに少しだけ汗をかいているような気がしているが、まさかコレ私が震えているという事なのだろうか。
「ミケらん本当に平気なら手を離してもいいですか」
「えっいいんですか、それで」
この余裕、もしかして本当に私が、怖がっていると言う事なのだろうか。
いや女子として、アイドルとして、正しいのかもしれないけれど、皆が怖がっていない中、私一人が怖がっているなんて、それはそれでいやな気持ちだ。
「この手を離したら、それはそれで醍醐味が薄れるんですがいいんでしょうか」
「あぁ番組的なこと」
「それについ、自然な流れで手を握ったことに、今更ながら照れてあせっています」
「なら離してください」
確かに、なんとなく握ってしまっていた手を勢いよく離す。
「まぁ今のところ特に変ったところはないみたいだな」
「あったらあったで困るどね」
「いやぁでもトイレは流石に電気つけるまえ、すごい不気味でしたよ」
女子トイレの電球が切れているところを態々見に行ってみたが、トイレ独特のなにかどことなくひんやりとした空気に、流石に皆入るのを一瞬ためらったぐらいに、不気味だった。
「人体模型とか昼に並べてみたけど、あんまり怖くなかったわね」
「いや、それはアミがくすくす笑っていたから、こいつ何かやったなと思っていた」
「私もです」
「皆さん、やっぱり慣れているんですね、あれ結構怖かったですよ」
雑談しながら、歩いていると子供の悲鳴のような音が廊下に響いていた。
「ヒナさん 今悲鳴聞こえませんでしたか?」
「バッチり聞こえてますよ」
確かに後ろから、駆け足のような音とともに悲鳴の音がある。
「どうする、成仏とかさせたほうがいいのか?」
「まぁ幽霊見るのが、目的だし見たほうがいいかもね」
そんな事を言っている間にバタバタと音をしながら、幽霊達が姿を見せたが、私達をみるなり指をさしながら口を開いている所から、魂まで抜けそうな声をのこした。
「がやーああああが」
そして、子供の幽霊ではなく、男の子と女の子が仲良く気絶した。
「アミさん見て、気絶するなんて凄いですねアミさん」
いつの間に握られていたのであろうか、ミケらんの手をはずしながら、子供達に近付く。
「あんた、いい度胸よね」
「それで幽霊ではないみたいだが、どうする?」
「とりあえず、宿直室に運ぶしかないですね」
「なら今回はお開きだな、私は放送室を片付けてくる」
肝試しは強制的にお開きになり、放送室の片付けが終ったナナさんが戻ってきてたが、子供達二人は、宿直室に寝かせているがまだ起きない。
「それにしても肝試しってあそこまで怖がる事ないと思うんだけど」
「まぁ取り合えずどうします、警察呼びます?」
「呼んだらめんどくさい事になるし、放置でいいんじゃない?朝になれば帰るでしょ」
「誘拐って事になりません?」
「めんどくさいわね、ここの住所どこだっけ」
「いや、学校名伝えれば分かると思いますよ」
とりあえず警察に連絡して、子供達の名前などわかるはずもないが、丁度行方不明の子供を捜索している途中で担当の警察の人にかわり、すぐにご両親にかわり、迎えに来るとの事だった・
目が覚める頃には、きっと両親の雷が落ちるであろう事を知らずに、気絶している二人。
「まぁいい思い出ですね」
「はい」
「ん?なんでミケらんが嬉しそうなんですか」
「悲鳴聞こえたとき、とっさにつかんでくれてた手暖かったです」
「いや、つかんでない、つかんでない」
「何かあったら一緒に逃げられるようにつかんでくれたんですね」
「違う」
「あれ?じゃあ怖かったとかなのヒナ?」
騒ぎに便乗するように、ニタニタと笑いながらいってくるアミさん。
「アミさんじゃあるまいし、違います」
「じゃあやっぱり、身を案じてくれたんですね、ありがとうございますヒナさん」
「違います」




