迷走する作戦会議
空き教室の黒板に作戦会議とチョークで書いたあと、ナナさんは教壇に手を置いた。
「新しい事を始めたいのだが、何かあるか?」
「あぁその話まだ続いていたんだ」
「当たり前だ」
声を大きく張り上げて、立つ姿は、優等生の委員長を見ているようだ。
「ヒナなんかある?」
「そうですね、とりあえずメールコーナーの復活をしてみるのはどうですか?」
「うわぁ自作自演ってむなしくない?」
「そのむなしい事を、私はしたんですよ、お二人もするべきです」
「ヒナの送るメール最高だからヒナがもう一度やるっていう手もあるわよ」
「アミさん、人の嫌がる事をしないって習いませんでした?」
「私はいいのよ悪魔だもの」
「じゃれあってないで、考えるぞ」
ナナさんに、叱られて私とアミさんは、できの悪い生徒のように、ふざけあいながらも、新しい取り組みを考える事にした。
「私達の宣伝はどう?」
「私達の初仕事がコレですからね」
「ほぼ活動していないわね」
「宣伝のしようがないな」
どうしようもないという認識の所為か、三人同時にため息が漏れた。
「どうします?」
「この学校の紹介でもする?」
「廃校の宣伝って斬新ですね」
「ヒナ、冗談よ冗談」
斬新過ぎるというか、私達の宣伝と同じぐらいに不毛のような気がする。
いくらなんでもこんな企画通るとは思わない、そう思ってナナさんを見たが、なにやら思案している。
「ナナ、今の冗談よ」
「いや、いける」
「いけませんって、何スイッチ入っているんですか」
「学校の伝統とかを紹介するのは有意義な事じゃないだろうか」
いや、伝統途絶えちゃっていますから、廃校になった時点でと言おうとしたが、ナナさんは、何故かやる気に満ちあふれて、天使の顔でこちらを見ていて、アミさんが、若干引いているのもお構いなしで、これではおそらく聞く耳を持ってくれないだろう。・
「あぁもういいんじゃないですか、学校の宣伝」
「そうだろう」
「ちょっとヒナ、なに日和っているのよ」
「アミさん素晴らしい企画ですね」
アミさんの抗議を聞かない、アミさんと目を合わせずにナナさんに調子を合わせていく。
「ヒナあんた、人の嫌がる事しちゃいけないって習わなかった?」
「まぁまぁ折角アミさんが、考えてくれた企画なんですから、自信を持ってアミさん頑張って下さい」
「学校の宣伝と言うことで試していこう、宜しく頼むぞアミ」
「ヒナ、あんた後で覚えてな」




