屋上でご飯
お昼を屋上で食べてみようという話になり、ノリというものは恐ろしくトントン拍子に話がきまり屋上の鍵をもちながら少しわくわくしながら階段をあがる。
「せっかく屋上にいくのだからなにかやりたい事あるか?」
「これといってないですかね」
バレーにバドミントンなどのスポーツは屋上でやるには危ないような気がするし、そもそも道具をもってきていないし、それにわざわざ屋上でするようなこともないだろう。
「私カツアゲやってみたいなぁヒナ」
「あははは 背丈がたりないようですよ」
「悪魔なめんな」
「いやそもそも屋上ですることでもないでしょう」
「いやヒナ、カツアゲはそもそもすることではない」
わざわざ屋上ですることもないといえば、お昼を屋上で食べるということもそれに該当するはずなのにすこしわくわくしているというのは、何か変な感じがするが屋上につながる扉をガチャリとあけたとき広がった光景は殺風景ということばがピッタリで当たり前だがベンチ一つなかった。
「ここで弁当食べるのやめない?」
「見晴らしはいいだろう」
見晴らしがいいというが、一つしたの空き教室でも大概同じ風景がみえるということを考えるとアミさんの提案に乗りたくなるが、ヒナさんがすでフェンスに寄りかかり地べたに座りながらサンドイッチを片手に食べ始めていた。
せっかく来たのだからとアミさんも私もフェンスに寄りかかりながらサンドイッチを食べながらサンドイッチを食べる。
「まぁ開放感はありますよね」
「開放感しかないともいえるわね」
「見おろしながら食べるのも一興だぞ」
「はいはい」
しかし暖かい、時期に暑い日が続いたらアスファルトは地獄のような熱を持つだろう今の時期でよかったともいえる。
思いついたのが夏にはいっていたら私は全力で反対したかもしれない。
見おろした運動場には当然のように人はいない、砂場に鉄棒とごくごく一般的な運動場と言えるのかもしれないが、校舎には生徒も先生もいない。
「何みてるのよ何かあるの?」
「何もないですよ」
「まぁそりゃそうよね私ら以外誰もいないんだから」
「そうですね」
屋上の扉をあけたところで別世界が広がるわけでもないし、昨日自分が言った言葉が跳ね返ってくる。
別にリアルが充実するわけではない。
それはそうだ、屋上に行って開放的になったところでリアルが変るわけではないのだから。
「日当たりがいいぐらいですかね」
「そうだなたまには食後に運動でもするか」
「私はパスですかね、アミさんとどうぞ私はボォーとしていますので」
「しょうがないアミやるか せっかくだから飛行訓練でもするか」
「それはぜひともみたいですね」
「ヒナずるいわね」
「そう思うなら私抱えてとんでもいいですよ」
「あんた重そうだからムリ、そこで見てなさい」
アミさんはいつぞやの仕返しとばかりにニタリと笑ってとびたった。
適当に答えただけなのだがお二人は羽を広げて飛び立ちぐるぐると回っている。
まぁ飾りだといっていたので実際には天使パワーと悪魔パワーで飛んでいるのだろうが、それでも私にとっては普通に学校に行っているだけだったらすくなくとも見れない光景であった。
それでもあの輪の中に私はいない。
もしかしたらこうして、見上げるだの存在なのかもしれないと苦しむべきか。
それとも特別な光景を見れたところまでこれた事を喜ぶべきか。
開放感しかない屋上で私はそこに縛られたようにぼぉーとただただお二人を見上げていた。




