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記憶の中で  作者: brownie
4/4

初任務は人形館

「…オカルト話に興味はないんだけど……」

大きな屋敷の前でリョウが呟く。


時は1時間前に遡る。

私達はナチさんから私の初任務についての説明を受けていた。

「ここから東に3km進むと深い森がある。森にはいると紅い木の実が成る木があるから、それを目印に奥まで進んでくれ。すると大きな屋敷が見えてくるはずだ。今回の任務はそこの探索だよ。」

地図を使いながら説明をする。

「…で?なんで僕たちが?」

リョウはものすごく不愉快そうな顔で問う。

意味のわからない仕事はしたくないらしい。

「あー…最近ね、そっち方面から声が聞こえるとか、夜中に小さい子供みたいなのが動き回ってるだとかいう声が後をたたないんだ。もしかしたらケルーアかもしれない。だから頼むよ。」

ケルーアとは能力者の事だ。

笑顔で背中を押され、半強制的に行かされたのだ。


そして今に至る。


「ま、まぁまぁ、そう言わないでさ、早く終わらして、早く帰ろうよ!ね?…きゃっ!!」

リョウを励ましてから前を向くと、辺りの木々には何体もの人形が釘で打ち付けられていた。その一つ一つの瞳がこちらを向いている。

「き、気持ち悪い…」

「あまり見るな。…中に入るぞ。」

リョウは私の手を引いて中へと入っていった。


屋敷の中は薄暗く、埃っぽい。

「くそっ…陰気だな。」

「…とりあえず進もう。」

奥へと進んでいく。

重い扉を開けるとそこは、子供部屋だった。

全て、お菓子でできているのだ。

「うわぁぁぁぁ!!!!」

ミカが思わず感嘆の声をもらす一方で、リョウは鼻や口を押さえて嫌そうな顔をしている。

「どうしたの??」

具合が悪いのかと心配になり、顔をのぞきこむ。

「いや、その…」

リョウは目をそらしながら

「甘いの…苦手なんだ。小さい頃からずっと。」

と答えた。

確かにこの部屋には甘い匂いが立ち込めている。

それもその筈、辺りにはクッキー、チョコレート、生クリームにママレードなどがたくさんある。

私自身が甘いのが得意だから平気だったのかもしれないが、リョウからしたら地獄の部屋だったに違いない。

「大丈夫?一回外出る??」

「ん…大丈夫。ありがとう。」

大きな手で頭を撫でられる。

私はこの手が大好きだ。暖かくて、安心できるし、何故か懐かしい感じがする。

理由はよくわからない。

原因はどこか手には届かない遠くにある気がする。

「…どうかした?」

あまり深くは考えないようにしよう。

また頭痛が起きて心配はかけられない。

「ううん。何でもない^^行こう!」

とびきりの笑顔で返すと、少し照れたような顔をして“そうか”と言って先に行ってしまった。


慌てて後を追いかけて入った部屋は工房のような所だった。

「作りかけの人形がたくさん…」

「陶器製…こっちは木製か…」

辺りにはフランス人形と思われるものが作りかけの形で散乱していた。

とりあえず辺りを散策し、手がかりを探すことにした。


カタン…


「ひゃっ!!」

机から人形が落ちたことに驚いて変な声をあげてしまう。

「…ククク」

リョウは声を殺して笑っている。

「もぅ!笑わな…っ!!!」

ーまた…肝心な時に頭痛が……ー

「ごめんごめん…ミカ?ミカ!!」

頭が割れそうなほど痛い。

「うっ……く…あ………」

痛い

痛い痛い

痛い痛い痛い!!!

「(この部屋から出ないと!)」


ガチャガチャ


「開かない!?嘘だろ!?開けよ!!」


ガチャガチャッガチャガチャガチャガチャ


扉は空しい音をたてるだけで開かない。

「うっあああ!!痛いぃ!!!」

視界が赤くなっていく。

痛みで壊れてしまいそうだ。

こちらに来いと誰かが告げる。

痛みとして、本能に。

扉を必死にこじ開けようとする背後で何かが動く気配がする。

人形だ。

頭が無い作りかけの人形。

それが包丁を持って近づいて来るのだ。

「くそっ!開け!開けよ!!!」


ガチャガチャガチャガチャガチャリ

バタン!


声に答えるように扉は開いた。

勢いよく閉めるとミカを寝かす。

真っ暗で何も見えない。

「うああああああっっっ!!!!!!いやっこないで!!!!!」

頭を抱えて丸くなり、まるでとり憑かれたように叫ぶ。

リョウは手を握って、ただひたすら『大丈夫、大丈夫』といい続けた。

部屋には歌が響いていた。


しばらくすると落ち着きを取り戻した。

ごめんなさい。と謝ると、ミカのせい

じゃないと微笑まれた。

「さ、歩ける?」

「ん……大丈夫。ありがとう。それよりこの歌は?」

「…男の子だね。さっきからずっと聞こえる。」

ロンドン橋落ちた~と誰かが歌っている。幼さを残す無邪気な声で。

「この扉の先かな?大丈夫?」

「うん。…行こう。」

リョウがゆっくりと扉を開けると、真正面、窓の前にあるダブルベッドの上。8歳くらいの男の子が熊のぬいぐるみを抱えて歌っていた。

やがてこちらに気づいたのか、歌をやめて、好奇心のある、且つ哀れみを含む眼差しで見つめてくる。


「……人間ですか?貴方たちは…だれでしょう?」


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