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記憶の中で  作者: brownie
3/4

私の名前

ー君は特別な力をもっているねー

そう言われたのはついさっき。

10分ほど前、検査室に連れていかれ、検査をされた時のこと。

新しい服に着替えた私はそう言われた。詳しくは教えてくれなかったが、何だか特別という響きが嬉しかった。


「(特別な力ってなんだろう?)」

部屋に案内されてから改めて思う。

案内してくれたひとに礼を言ってベッドに横になる。

「柔らかい…」

ベッドはダブルベッドで、レースで華やかに彩られている。

部屋も広い。教室とやらの約4倍はあるだろう。

リラックスしていると部屋にノックが響く。少し間があいて一人の青年と一人の男性が入ってきた。

「…あ……」

一人は見覚えがあった。あの夜、何者かに襲われそうになったときに助けてくれた青年だ。

もう一人は見たことがない。二人とも同じ、黒いコートを着ている。

「大丈夫?」

青年に優しく声をかけられる。はい、と答えれば柔らかな笑顔で、良かった、と返された。

隣でひとつ咳払いをした男性は続けて

「初めまして。僕はナチ。突然でごめんね。君は特別な力を持っているかもしれないから、ここ、純輝の古城[トワイライト]で預かることになったんだ。だから、これからはここがホームだよ!」

と語った。

ここがホーム。私の帰る場所。

ならあの夜私がいたあの場所は?

何故あそこにいたの?

思い出そうとすると頭が痛くなる。まるで拒絶されているように。

じゃ、僕は忙しいからあとよろしく。

早足でニチさんは部屋を出ていった。しばらく沈黙が続く。

何か言おうかと思った時、彼が口を開いた。

「…僕はリョウ。ここで仕事をしているんだ。」

淡々と語る。私はどうしても気になっていたことを聞いた。

「………特別な力って…何?」

「あぁ、……命を助ける救いの力…だよ。君、名前は?」

名前?改めて考えてみると自分には“名前”が無い事にきがつく。あったのかもしれないが、記憶に無い。

「…わからないの……」

そう言うしか無かった。

「なら僕がつけてあげよう。」

無邪気に笑うその顔は好意しかなかった。

「………ミカなんてどうかな?この国の言葉で“優しさ”“愛”“純粋”って意味があるんだ。…どうかな?」

「ミキ…ステキ……」

優しさ、愛、純粋。素敵な言葉だとおもった。

「ミキ……リョウ…………ありがとう^^」

初めて名前というものをもらった。

ーどこだ?どこにいる?ー

そんな声が聞こえた気がした。


それからというもの、キラという者になった。特別な力を持つもののみがなれ、任務に着ける役職だ。勉強や訓練に必死になってやった。近くの土地の歴史や風習、特徴はもちろん。任務に必要な知識は全てリョウが教えてくれた。物騒ではあるが、剣や弓矢、魔法、銃なども。私に向いていたのは弓矢と魔法だった。リョウはトランプを使う戦い方をするらしい。

風や大地、海、そら、緑。

自然が大好きになった。

私たちはいつも一緒にいた。

まるで兄妹のように。


一年後、私はリョウと一緒に初めての任務に着くことになった。


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