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 バイクの集会は基本に倣って、深夜に行われる。


 バイク野郎の集りだ、当然バイクに乗るので道が混んでない夜のほうがいい。昼間集団でツーリングをして遠くでも行けばいいのに。


 まっ、それは長時間がないと無理だし、みんなの都合に合わなかったのかもね。


 そもそも、お兄ちゃんのバイク仲間なんて私さっぱりしらない。


 気持ちが重い私とは裏腹に、時間はいつも通り過ぎていく。


 そしてついには、夜も更けてきた頃に上機嫌なお兄ちゃんが私の前にやってきた。


 「さて、そろそろ行くか」


 お兄ちゃんはバイク用のジャケットを着ている。夏なのに暑くない?って聞けば。


 「見た目よりの安全と機能美、これバイク乗りの常識」


 笑って返された。


 所で初参加の私は何きていけばいいの?風を服の中にいれない服ってもってないのよね。それと夏の夜でもバイクに乗って、長く風に当たり続けると寒くなるってさ。


 その上に万が一を考えて肌が露出してないの、肉が削り取られるらしい……横転事故をしたら。


 だから困ったな。冬服はセーターにコート着用しているからお兄ちゃんみたいなジャケット持ってない。


 ガサゴソ、自分のクローゼットを漁ってみる。


 うむー…。安全面に夏の熱気を最小限に抑えて、そして何よりオシャレを兼ね備え、更にバイクに乗ってチャラけてないのは中々ないもんね。


 そもそも、揃えている方が可笑しい。バイクはかっこいいけど乗りたいとか極めたいとか考えて事もないのに。


 は~ため息が重い、どれにしようかと夏なのに冬服を探っているとノックと共にドアが開いた。


 ノックをしても返答する前に、ドアを開いたらノックの意味がないと何度注意しても聞かない我が兄、直哉お兄ちゃん。


 「もう!私が着替えている途中だったなら如何するの?!」

 「別に見てもいいだろう?」


 うわ~普通に返してきた。幼少の頃は一緒に寝たりお風呂を入ったりずっと一緒だったけど、今は体つきも変わり男女の意識は兄妹の中でも私は芽生えたのに…。


 つか、180センチ近い女の着替えを見たいのかよって話だよね。自分で考えて凹む。これで女の魅力を持っている体系ならモデル並みなんだけどねぇ。


 私の体はおうとつが少ない、凹む。


 「それよりホラ、これを着ていけ」

 「用意してくれたの?」

 

 お兄ちゃんが、私に何やら大きな物を渡してきた。それは結構な重量感のある黒い何か。


 「お前特製のヘルメットもあるぞ」

 「用意周到な?」


 そういって私が、お兄ちゃんに渡されたのを広げてみた。黒いスーツ。


 戦うビジネスマンが着るスーツじゃない、上下がツナギのように繋がって中々丈夫に出来ている素材。


 「……何よこれ?」

 「見ての通り、レーシングスーツ。特注だから高くついた」


 へー…、別にいらない。つか、これお兄ちゃんが着ればいいじゃん。そして今お兄ちゃんが着ているジャンパー私が着るからさ。


 心で呟いても、サイズが違う。お兄ちゃんは私よりも頭一つ分背が高い、180センチ越えは軽くしている人だ。


 「早く着て見せてくれ」


 ウキウキした声で奈保子にレーシングスーツとレーシングブーツを押し付けて、さっさと部屋から出て行く。残された奈保子はごついレーシングブーツを見てため息をついた。


 まずはレーシングスーツから、着てみよう。渋々に奈保子は下着の上にキャミソールとスパッツだけになり、レーシングスーツの正面の首から股間までファスナーを下ろして開く。


 「うん?レーシングスーツの中ってこんなになっているのね…」


 中には縫いこまれたプロテクトの数々。着るというより入り込む感じで、奈保子はレーシングスーツの中に体を入れて股間から首までファスナーを元に戻す。


 案外、軽い。丈夫だから動きにくいとか思っていた、プロテクトも内部に装備されているから。


 プロテクトは腕からお腹、背中は勿論足にまで細かく体の動きを邪魔しないように精密に作られていて、ちっとも重くも邪魔にも負担にもならず。


 「これなら……ちょっとぶ厚い防寒具みたいだわ」


 細身に作られている漆黒のレーシングスーツに着替え終えると、次は靴。


 着替えて自分の格好はどうなっているのか?っと振り返ってみる。


 部屋に設置してある大きめな姿見の鏡には靴を入れて、普段より少し高くなった自分。


 多分180センチはあるよね、元は179センチあったんだ。完全に一cm以上は高くなっているはず。


 お兄ちゃんよりは小さいけど。


 ってこれ、体のラインが全く分からないジャン!!顔を隠したら完璧男だって!!?

 

 ……いや、ちょっと誤解しないでね!?私のボディライン云々よりもプロテクトが頑丈にほぼ全身にあるからラインを消しているのよ?


 何よりも持ち前の肩幅のよさ、幼少時代に護身術レベルを超えた訓練で得た筋肉を、このスーツは引きだててくれる。おのれ…。


 私の体格の良さは、護身術はお爺ちゃんから沢山のコーチを呼んでくれてお兄ちゃんと一緒にやったんだ。小さい頃に培った筋肉は大きくなるにつれて消えてはくれなかった。


 もう、私一応は思春期なんだぞ?


 まっ、そのおかげさんで身代金目当てで誘拐をされかかった時、数人相手に抵抗して時間を稼ぎ、SPさんが助けてくれた。


 その時は本当にお爺ちゃんに感謝したわ。抵抗したって言っても捕まえられた瞬間振りほどいて逃げただけだけど。


 お爺ちゃんの訓練は事件後、更に過熱したのはまいったな。だから私はバク転とかバク宙なんかが出来るのよ。


 けどね……女の子だから、守るより守られたいってあるじゃん?皇子様とはいかないけど恋人くらいには。


 完全に鏡に映る私の姿は、守る側だよ?しかも女の子を。


 うは~(笑)元々女の魅力なしwwwって思った人、殴らないのでソッと手を上げてごらん?素直でよろしい、上げた人は月のない夜には窓のカギを開けて寝ていてね❤きっと素敵な出来事が起きるぞ☆


 何か落ち着かなくて、もしかしたらスーツの着かたを間違えてこうなってしまったのかもしれない。だからお兄ちゃんがスタンバイしているダイニングルームへ、一度も土足を踏んでいない新品のバイク用の靴をはいたまま向かってみた。


 「……着てみたよ?これでいいの?」

 「おーおー想像以上に似合っているじゃないか!」


 おにいタン、正直嬉しくないよ……。どっから見ても男じゃん。


 「最後にこれを…」


 私の頭に大きな何かをかぶせた、一瞬視界が黒くなったけど今は本当に薄いサングラスのような黒くなった私の世界。


 『マスク、いやヘルメットかしら?』

 

 顔を触ってみる、バイクを乗る人なら必ず被るヘルメットのようだ、しかも目の部分だけ残して他はヘルメットで隠れている。私の髪から顔つきまで、コンビニや銀行にこのまま入っていったら絶対通報されちゃうなってほどに。


 足元にいたマロンがにゃ~っと鳴く。直樹はマロンを抱き上げて私の顔に近づけた。


 「お前のママがモデルだぞ」


 嬉しそうな声の兄に、首を傾けて頭に?マークを浮かべた。


 私が被っているフルフェイスに何かあるのかな?不思議に思ってダイニングルームに、私が近くの雑貨屋で一目惚れして置いた小さめの手鏡を、ガス仕様の暖炉からとって覗く。


 フルフェイスの両側面に、大きく黒い猫のイラスト。


 猫は獲物を見つけたのか、横左右に思いっきりダッシュする瞬間を切り取った図で、ドイツの超有名ブランドスポーツメーカのプーマ会社がロゴで使っているチーターみたいに猫がいた。


 顎から鼻先にかけて、そこだけが白いこの子は。


 『メロン!?』


 現在我が家にいる、マロンの死んだ母猫が大きくペイントされていた。私もお兄ちゃんも始めての飼い猫だったので、想い入れも強くて。


 『かわいいーーーッ!!!』

 「だろ?だろ?」


 お兄ちゃんも満足そうな声に、私も頷く。ここだけは、お兄ちゃんに同意できる。

 

 『うん!凄くかわいい!!パクリ臭いのがまたいい!!』

 「パクリは余計だ」


 嬉しそうに女子高生らしくキャッキャッウフフしている奈保子だけど、第三者からしたら体格のいい男がやっているのでヴィジュアル的には可愛くない。


 で、そろそろ突っ込みを入れてもいいだろうか?


 『私の声、どうしてボイスチャンジャー付きでしょうか?男の声にしか聞こえませんが』


 マロンを床に降ろして、お兄ちゃんは自信満々に答えた。


 「当然、お前が女だとばれない為に決まってるだろ?」

 

 さも当然とばかりの顔に、意味の分からない怒りを覚えもう少しで蹴りが入りそうになった。


 『どうして!!私が男装しなけりゃいけないって聞いているの!!?』

 「は?お前が女だと知られると色々面倒だからな」


  OH SHIT!やっぱワザだったのね!!


 『何がどうなったら面倒になるのよ!』


 誰がフルフェイスのヘルメットは別として、完全武装のレーシングスーツを好き好んで着たくない。男と間違われたりするのは嫌いなの。


 「よく聞け我が妹よ!其の一、俺はメンバーでもリーダー格なので贔屓にしてるヤツは注目されてお前の周りでチョロチョロするやつが出る、そんなんお兄ちゃんが許さんぞ!その二、女だと夜道では狙われる危険性がある。その三、お前の素性がばれるとお前のイメージが不良になるだろう……という何て妹想いな泣かせる兄貴なのだろうと自画自賛しているのだが、どうだ?」


 一気に喋る兄に、奈保子は一瞬だけぽか~んとしたが。


 『全てを解決する策として、私が参加しないってのは?』

 「勿論、却下」


 ちくしょーーーー!!


 「とにかく、お前は女だと知られるな。これは絶対にだ。上手く夏休みの間に誤魔化せたらアレをやるよ」


 アレって……アレ!!?


 『本当!!?』


 嬉しくて、男の姿をした奈保子は両手を合わせて、乙女ポーズでお兄ちゃんのアレを思い浮かべる。


 アレとはヴァイオリンの事よん、しかも只のヴァイオリンじゃないわ!聞いて驚け数百万もするドイツ製の凄いきれいな音なの。


 鳳凰学園に入学の祝いに、鳳凰学園の理事長であり私達の伯父さんがお兄ちゃんのお祝いにくれたの。すっごくうらやましかった、私にはドバイの別荘をくれたけどさ、一度も行ってないし……遠いし。


 宝の持ち腐れ状態、私もお兄ちゃんも。


 一応お兄ちゃんはヴァイオリンを演奏できるけど、興味はバイクの方が断然上。逆に私はヴァイオリンがそんなに上手じゃないけど演奏するのは好き。


 音楽と私が一体となる感じ、人によっては自分に酔っているとか言われちゃうけどさ。どうせやるなら、いい音色のでる方がいい。


 だから、一級品のお兄ちゃんのヴァイオリンをいつも勿体無く思っていた。


 「俺が持っているよりも、お前が持ってた方がヴァイオリンも喜ぶだろうから……な?」


 お兄ちゃんはヘルメット越しに私の頭を撫でる。

 

 メチャ嬉しい!!昨日から溜まった私の不満が一気に飛んだ。単純な私だけど嬉しいものは嬉しい。


 『お兄ちゃん大好き!!』


 180センチを越した見た目男2人が抱き合う。シュールな光景は猫のマロン以外には目撃されなかった。


***


 「お前も奈保子と一緒で喜んでるのか?」


 直樹と奈保子が暮らしているマンションの地下にある、個人の駐車場で直樹が愛車のアクセルを噴かすとまるで獣が唸るようなエンジンが反響して響く。


 バイクのエンジン音に、上機嫌にバイクに話しかける。


 お兄ちゃんの自慢のバイクは、正規で買ったほうが遥かに安くつくほど、山で不法投棄されていたバイクを自分好みに改造してあるので見た目と性能が違う。


 そこらへんはボンボンらしく、金に糸目はつけてないので多分……相当速く走れると思う。


 ついでに、私が被っているフルフェイスのシールドって言う目の部分。其処だけは見えないと危ないから強化プラッチックを使って前が見えるようになっているんだけど。


 私が見た印象では、シールドの部分は真っ黒で夜道では見えづらいとか覚悟していた訳。第一にヘルメットを被る理由がお兄ちゃんが私の顔を知られたくない理由からして、ここはしっかり隠すだろう。


 目って印象に残るからね、でも濃い黒色のシールドなのに全然夜でも不快感がない。とっても遠くまでちゃんと見渡せたのには驚いた。


 お兄ちゃんが「金がかかった」というのも頷ける仕様に呆れるわ。確かに特注のヘルメットだよね、普通の市販のヘルメットじゃボイスチェンジャーなんかつける必要性はないもん。


 「奈保子、乗れ」


 鳳凰学園にはバイクを持っていてない(というか不要)なんで、お兄ちゃんとバイクが対面したのは数ヶ月ぶり。


 まるで久しぶりに会えた恋人との再会みたいに、嬉しがる。


 そして、たまに見るバイクの座席には何かが取り付けられていた。


 座席の先に、二人乗りの後ろの人が安定するように小さな背もたれみたいなの。昨日まで無かったはず。


 私はお兄ちゃんの背中に引っ付いて、急ブレーキの反動でお尻がつるっと後ろに滑らないので乗りやすそうだ。


 とにかく、餌で釣られた奈保子は素直に兄の後ろに座り片腕は直樹の肩に、もう片腕は腰に捕まり。


 『いいよ』


 と返事をすると、バイクは暗闇の街に向かって駐車場から飛び出した。


 凄い速さで駆け抜ける風景に、奈保子は目を大きく開いた。


 バスや車では体験できない、臨場感ある風の抵抗。それがリアルに高速で移動しているという実感を、体中で感じさせて。


 ありとあらゆる、しがらみから開放された気分にすらさせてしまう。


 いつも通る通学路が夜中ともあって静まり、まるで知らない場所を走ってるようにも奈保子の目には映った。


 風と一体化になって走る直樹に奈保子は、バイクにハマる気持ちのほんの少しは理解できた。私がヴァイオリンを演奏する時ときっと一緒なんだろう。


 「風が気持ちいいだろう?」


 顔は振り返らずに、私に言ってくるお兄ちゃんに。


 『ちょっとはね』


 なんて可愛くない返事をした。


 それから2人で、人気の少ない山付近の建物へ一直線に向かい。直樹と奈保子を乗せたバイクは止まった。


 建物に近づくにつれて私の緊張も、高まる。初のコスプレが完璧な男装……いや変装だとは、人生は何が起こるか分からない。

 

 放置された無人の二階建ての会社ビル、恐らくは建設会社か何かの事務所だろうと思う。建物は放置されて数ヶ月か一年内と推測できてそんなに荒れた様子ではなかった。


 しかし、招かれざる客人がいる。入り口近くに軽く見ても数十台のバイクの数が止まってあり、容易に建物の中に全員集合状態なんだろうな。


 はい、すんません。舐めてました、お兄ちゃんの集会を。


 もっと少数人数で、バイクの話やするだけとか想像してました。その上に、個性を強調したいのかパッとみたら暴走族みたいに勘違いされそう。


 いや~入りたくないわ~。アメリカンな服を着た毛がバリバリ生やしたおっさん達が、ぎっしり居たらどうしよう。


 しかも、その人たちのリーダー格なお兄ちゃんは、何が如何なってリーダーやってるのよ?


 奈保子が上を見上げると、二階部屋の一箇所から明かりが漏れていた。どうやら電気はまだ生きている。


 電気を無断で拝借するのは、如何な物だろう…なんて考えているとお兄ちゃんがドアを開いて、私が通りやすいように開いて待っていてくれた。


 腹を括るしかないわ……此処でもう帰り右って出来ない、したら夏休みの間続く嫌味+ご飯は嫌いなもの+今後の弱味。


 それにダッシュで逃げようとしても、帰り道わかんないし。逃げてもつかまってお米が詰まった俵みたいに抱えられて運ばれるだけ。


 重い足をどうにか持ち上げて、お兄ちゃんと一緒に二階へ上がった。


 「「「「「ちわーーーーーーッス!!!!」」」」」


 お兄ちゃんんが先に二階の中で一番広い。多目的室へ入った途端に、其処にいる全員が立ち上がって頭を下げて挨拶をした。


 男子高校生の体育関係の部活の挨拶みたい、一斉に。


 私は勢いに飲まれて足が止まってしまった。


 「よう、久しぶり。皆変わりはないか?」


 軽く直樹は全員に向けて挨拶を返した、室内には20人以上いて多目的室も余裕があるが狭い印象を持ってしまう。


 嬉しそうなお兄ちゃんのバイク仲間の人たち、でも……なんで皆さんヤンキーなんですか!!!?


 もう!!私の馬鹿!!


 奈保子は直樹が先に部屋に入ったので、後から続こうとしたのだけれど急停止をしてドア横の壁に背中をベッタリくっつけて一時退却。


 ヤバイ、ヤバイ!怖い!!ちょっと待ってよ!!


 今のご時世において髪の色を染めるくらいでは不良と認識はしないです、私の学校でもオシャレで夏休みの間変える子はいるわ。でも鼻にピアスとか刺青とかはありえない。


 騙された!!……お兄ちゃんが「こう」なの、お母さんの子宮の頃からの付き合いで分かっていたはずなのに。


 何が心配だから、ヘルメット外すなよ?っだぁ!?その危険はお兄ちゃんが連れてきちゃってるジャン!


 「おい……黒猫」


 部屋に入ってこない奈保子を直樹がドアを開いて覗いてきた、私の個人名を出すと女と悟られてしまうから適当な名前で呼びやう。


 『馬鹿!お兄ちゃんの馬鹿!!思いっきり不良の集会じゃない…』


 私ヘルメットの下で涙目、頑丈そうに見えてもいい所のご令嬢なんだからね!お淑やかなんだからね!


 直樹は奈保子の不安を、分かったのか小さく笑う。


 「心配するな、皆は元暴走族だった奴らだ。今は真っ当な学生やら社会人になっている」


 私の手首を掴んで、ちょっと強引に部屋に引き入れた。私がドアをくぐる瞬間に手を放したから私が自分で部屋に入ったように周囲は見えるかも。


 そして、室内に入れば当然の如く注目の的。


 見かけないヤツを見つけて不思議そうな人、直樹お兄ちゃんと馴れ馴れしいのが癇に障るのか不愉快そうな人、全身全てを隠すような私に興味津々な人。


 様々な人の視線が私に矢になり、突き刺さる。


 やっばーい、これって死亡フラグ?


 出来るだけ、ここにきたらお兄ちゃんの影に隠れてよう。だったらトラブルも起こらないでしょう?


 ボスに多少贔屓されているのだけど、何もしない男なんて印象もってくれれば何とかなりそう。部屋の隅っこで足抱えてポテチでも食してます。


 「こいつは俺のお気に入り、黒猫。よろしくしてくれ」


 お気に入りの部分はいらんがな!ホラ見て、お兄ちゃんを一番キラキラした瞳で見つめてた赤毛の男の子が、私をメチャ睨んでんの。


 『構わないでくれ…』

 

 単純な私は今ありのままの感情をポロってだしちゃった、喋った瞬間に自分の失敗に内心焦る。


 リーダーのお兄ちゃんが好意的に迎えてくれているのに否定するわ、第一声から俺に近づくな宣言。


 ついでにリーダーの面子もつぶしちゃった、(元)不良の方々も私に眉を顰め始めた。


 それに、ホラ見て?赤毛の男の子、歯まで喰いしばってるよん!


 君はお兄ちゃんが大好きなんだね!!問題にならない程度にお兄ちゃんと遊んでくれて構わないんで私は見逃して!!

 

 「なんなんすか?この人…顔も見せないで、失礼ッス!!」


 赤毛の男の子が私を当然、気に入らなくて絡んできた。


 「コイツは俺の相棒だ、気にしないでくれ」


 だからお兄ちゃん、私を特別扱いしないで!!YES空気、STOP贔屓。


 「…………速いんすか?」


 納得できない顔と声で、赤毛の男の子はお兄ちゃんに尋ねる。きっとバイクのテクニックの事でしょう?バイク仲間だし一応は…。


 「いいや、コイツはバイクを運転せん。俺の後ろを使う」


 一気にざわめき出す室内。奈保子は成り行きをハラハラして見守っているだけで、自分の兄の発言の意味が分からなかった。



どうも、長毛種の猫でございます。

本当はも少し話しを進めようと考えていましたが、無理でした☆


もっと早く展開を進めろって話ですよね、しかしニワトリ以下の脳みそでは話の整理をすれば……このままでは最初に宣言した20話くらいで完結できそうですか?


(読者様に尋ねるな!)


 とにかくできるだけ展開を次は進めたいです!!!

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