表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
呪われ王子と金次第聖女※第二章開始  作者: まる
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/32

勇者と魔法使い

ニールが案内してくれた部屋に入ると、部屋の壁は花柄で、小さい肖像画がかかっていた。


暖炉の前にテーブルと椅子があり、その前に寝台が置かれている。こじんまりとしていて過ごしやすそうな部屋だった。


「夕食はすぐにお持ちしましょう。疲れたでしょう」


ニールはそう言って部屋を出ていく。部屋を見回してから、椅子に座る。王宮の中を探検したいけれど、下手に動くと不敬罪で処罰されかねない。


王妃と第二夫人は顔を会わせないようにされているのだろう。


居住もしっかりと分けられている。椅子に座ってぼんやりとしていると、コンコンと部屋がノックされてワゴンをついたニールが入ってくる。


「夕食を用意しましょう」


テーブルの上に次々にお皿が並べられていき、全部を並べ終えるとニールはワゴンをついてごゆっくりと言って出ていってしまう。


一人でご飯を食べられるのはありがたい。貴族たちとの食事は思い出すだけでも嫌になる。平民はマナーも弁えないのね、とちくちくと攻撃された。


「美味しい」


独り言が漏れてしまうくらい美味しいそれに、昨日と同じくガツガツと口に運んでしまう。プーミも一際柔らかかった。嬉しくなって食べていると、コンコンと部屋の扉がノックされてニールが入ってくる。


「プーミをお持ちしました。お腹が空いているでしょう」


そう言われてプーミをお皿に置いてくれる。嬉しくなって会釈すると、ニールはニコニコとして水を注いでくれる。


「なんでもよく食べてえらいですね。ゆっくり食べてくださいね」


その言葉は故郷の母を思い出させて、なんだかいきなり寂しくなった。ニールはそれには気づかず、またきますね、と言って部屋を出ていく。


2個目のプーミに手を伸ばして口に入れる。それはさっきよりも柔らかく感じた。





翌日、王太子殿下が王宮の中を案内してくれることになった。ただし西の棟つまり逆側の棟には決して入らぬようにとのことだった。そこは正妻とギリウス王子の居住となっている。


中央には蔵書室があり、そこにはお前も用がある時があるかもしれないと教えてくれた。蔵書室に入ってみると埃っぽくないことに驚いた。


綺麗に掃除されていることが匂いだけでも十分にわかる。日が控えめに差し込む蔵書室は左右に本棚が配置されていて、ところ狭しと並んでいた。


「勇者カリアスが魔王を倒してできた国だということは説明したな」

「はい」

「その勇者カリアスと共に魔王に立ち向かったのが、魔法使いシュルベルと言われている」

「魔法使いシュルベル」

「我が国では魔法は絶えて久しいが、大昔にはあったらしい」


そう言って王太子殿下が蔵書室の棚から引っ張り出したのは薄い絵本だった。子どもがよむやつじゃないか、と思って見ていると、それを私に手渡してくる。


「その絵本には書かれていないが、勇者カリアスは魔王との戦闘で呪いを受けた」

「はあ」

「そのあとはお前が知る通りだ」


勇者カリアスが受けた呪いはこの国の第一王子に脈々と受けつがれ、25歳になるまでに大体が死にいたる。


何百年も前にかけた呪いのくせにしぶとい。さすが魔王と言ったところだ。


「対策はなされなかったのでしょうか」

「されたさ。それこそ、勇者カリアスは血眼になって呪いを解く方法を探したと言われている」

「ほう」


蔵書室から出ると、王太子殿下がおしだまる。私もそれに釣られて黙る。王太子殿下とすれ違う使用人たちは必ず頭を下げる。


それはそれだけ王太子殿下が注目を浴びているということにもなる。王太子殿下の呪いについてはどれだけの人が知っているのかはわからないけれど、王太子殿下は呪いのことを公に話そうとはしない。


王太子殿下がサロンへの扉を開けてくれる。それに会釈して先に中に入った。


「一説では魔法使いシュルベルはその呪いを抑えることができたらしい」

「そうなんですか?」

「ああ、ただ、不幸なことに勇者カリアスの息子に呪いが発現すると同時期に亡くなっている」

「なるほど」


その時の勇者カリアスの気持ちを考えるとたまらない。まさか息子にまで呪いが受け継がれるとは思ってなかったのではないだろうか。


それに加えて、今まで自分の呪いを抑えてくれていた魔法使いシュルベルも亡くなってしまった。


八方塞がりとはまさにこのことという気持ちになったのではないだろうか。思わず絵本を抱きしめる。


「魔法使いシュルベルの血縁か何かなのか」


その言葉に顔をあげると、王太子殿下がこちらを見ていた。同じ呪いを抑える力。確かに血縁ならば説明もつくかもしれない。


「でも私の一族に私のような力を使える者がいたというのは聞いたことがありません」

「そうか」


魔法使いシュルベルの血が残っていたのなら、必ず勇者カリアスが探し出したのではないだろうか。そのままにしておくとは考えにくい。


「なら、なぜお前はその力を使えるんだろうな」


肩をすくめてみせると、王太子殿下も肩をすくめてくれる。やっぱり私の力のことを調べる必要がありそうだ。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ