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呪われ王子と金次第聖女※第二章完結  作者: まる
第二章

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帰還

やっと王宮に到着した、と馬から降りた瞬間、そこらじゅうに大音声が響き渡った。


「リャト!」


声がした方向を見ると、王陛下がのしのしとこちらに歩いてくるところだった。こんなところまで出てきて大丈夫なのかと思ってしまう。王宮の入り口も入り口だ。驚いて王陛下を見ていると、王陛下の視線が真っ直ぐに定まっていることに気づいた。王陛下はリャト王子しか見ていない。


「リャト!けがはないか!」

「あ、ありません!」


王陛下の大音声に引きずられるようにリャト王子の声も大きくなっている。状況から見るに、リャト王子のことが心配で王陛下はここまで出てきたらしかった。そうか、と思いながらリャト王子を見るとリャト王子は驚いた顔をしている。


「旅はどうだった」


リャト王子にけがはないとわかって安心したのか、王陛下の声が小さくなる。リャト王子を気にかけるような声音になった。リャト王子はおずおずと自身が持っていた本を差し出す。


「わ、私が、み、見たものを描きました。ご、ご覧ください」

「そうか」


リャト王子が差し出したものを王陛下が大きな手で受け取った。そして開いて、中身を見る。真剣な表情だ。


「リャトは、絵も上手いのだな」


王陛下がそう言ってリャト王子の頭をワシワシと撫でた。リャト王子がまた驚いたような顔になり、そして嬉しそうにはにかむ。王陛下はやはり父親として息子たちを大事に思っているんだな、とわかった。


「ルリアート、ギリウス」

「はい」

「はい」

「二人とも弟のことをよく見てくれた。礼を言うぞ」


その言葉に王太子殿下とギリウス王子が頭を垂れる。それに王陛下は満足そうに頷いた。


「マーロ」

「はい」


呼ばれたマーロ様が緊張した声で返事をする。背筋も伸びているように思えた。


「これからもリャトをよろしく頼む」

「もったいないお言葉です」


感極まったような声を出したマーロ様が頭を垂れる。私がその様子を見ていると、王陛下の視線がこちらへ向いた。慌てて頭を垂れる。


「今回も王子たちが世話になったな」

「いえ、私の方がお世話になりましたので」

「そうか」


こちらに歩いてくる音がして、頭を強く撫でられた。手が離れたあと、顔を上げると優しく微笑む王陛下がいた。


「みな、無事でよかった。ゆっくり休んでくれ」


そう言って王陛下が踵を返す。もう一度頭を垂れて、やっぱり王陛下には全てお見通しのように思える、と思った。





マントをお母さんに預けて寝台に寝転がる。今回の報酬も弾んでくれると王陛下は言っていた。それにニンマリとしてしまう。お金はいくらあってもいい。ただ、またシュルベルの故郷に行かなければならないと思うと気が重い。馬に乗ると尻が痛いんだよな、と思いながら寝台でゴロゴロと左右に転がってみる。


テセト第四王子にも会いに行かなければならない。奉納する音楽はリャト王子が調べておいてくれると言っていた。リャト王子は次の旅にもご一緒したいです、と言っていたけれど、王太子殿下は渋い顔をしていた。


次の旅には連れて行かないかもしれない。リャト王子がお荷物だと言うことではなくて、第一王子から第四王子までが王宮を空けてしまうのは危ないと言うことだろう。


「そうだ」


思いついてポケットから砂糖菓子を取り出して口の中に放り入れる。甘い味がジワリと広がって、ホッと一息つけたような気がした。王太子殿下の呪いもきちんと抑えられているし、うまくいけば呪いが解ける日も近いかもしれない。


「そうなったら、どうしようかな」


呪いが解けたら私はお役御免になる。そうなったら何をしよう、と思っても今のところ何も思いつかない。街で診療所でも開こうかな、と適当なことを思いつく。その場合は力を使うのではなく、医学の知識を学んだ方がいいだろう。王宮の侍医を紹介してもらおうかな、と思ってもう一度砂糖菓子を口に含んだ。



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