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呪われ王子と金次第聖女※第二章完結  作者: まる
第二章

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32/43

旅の始まり

王陛下からのお許しが出た。第一王子から第三王子までが王宮をでると言っているにも関わらず王陛下は寛容だ。


お許しが出たのでいざ地図にあった北へ向かうことになった。北の地は寒いからと上着や襟巻きをたくさん持たされた。それに手袋も。荷物が多いな、と思いながら馬に乗ると、見送りに出てきてくれた人たちに手を振っておく。それに振替してくれるのを見て、前の応対し殿下に続いて王宮を後にした。


そして今、魔物に襲われている。


一番初めに魔物を見つけたのは私で躊躇なく悲鳴をあげたことから追いかけられるようになった。無我夢中でを走らせていると、王太子殿下が隣を並走してくれる。かなりの速さが出ているはずだが、空から襲ってくる魔物には関係がない。


本当に泣きそうだ。どうしてこんなことに、と思っていると王太子殿下が馬の背中にたった。そんなことができるの?!と思いながらその様子を見ていると魔物が私のことを食べようと降りてきた瞬間に、王太子殿下がその甘物の首を切った。背後でどrしゃりと言う音がして、魔物と魔物の首が落ちる。


そこでやっと馬を宥めて立ち止まらせようとすることができた。私が魔物のところまで戻ると、魔物の首から上は舌をだらsりと出しているし、首からは血が溢れ出している。嫌そうな顔をしていると、王太子殿下が魔物のことを細かく切り始めた。


「何してるんですか」

「細かく解体しておいてやらないと、持って行きづらいだろう」

「なるほど」


なるほどとは言ったものの納得はできていない。王太子殿下はよくそんなことができるな、と思いながらふと隣をみると、リャト王子が目を輝かせて何かを紙に書き記していた。


「何を、描いているんですか」

「魔物です。初めて見ました!本当にいるんだ!」


興奮しているのか口調が滑らかになっている。意外と動じない性格なんだな、と思っていると、ギリウス王子も解体に手を貸し始めた。確かにここでずっと足止めされるよりはいいかもしれない。


「フューイ、ここら一帯を浄化してくれ」

「まだ魔物の遺体があるから、うまくいくかわかりませんよ」

「ずっとここにいるわけにもいかないからな。とりあえず頼めるか」


そう言われて佐藤菓子を口に放り込む。がりりとそれを噛み下して飲み込み、馬から降りて地面に手をつく。こんな遠い場所からで大丈夫かな、とは思ったけれど近づきたくはない。


辺り一面が淡く光初めて、清涼な空気が流れる。地面についていた魔物の血がみるみるうちになくなっていく。これくらいか、と言うくらいで止めると地面はすっかり綺麗になっていた。


「さすがだな」


そう言われても右手は痺れている。浄化はかなり魔力を消費してしまう。今日はゆっくり休もう、と馬にもう一度またがると、隣のリャト王子がこっちを見ていることに気づいた。


「すごい!浄化の魔法も本当にあるんだ!」


キラキラした目でそう言われて、一応頷いておく。リャト王子は私のことを見て紙に何かを素早く書き込んだ。そうしているうちに、王太子殿下とギリウス王子が馬にまたがる。


「先に村がある。その村に持って帰るように伝えよう」


王太子殿下がそう言って馬を歩かせ始める。私も後に続いた。リャト王子は自分のカバンに紙とペンをしまっていたので、少し遅れた。





「魔物の討伐をありがとうございます」


村長がそう言って頭を下げる。魔物の肉と皮、それに瞳なんかも高額で取引をされるらしい。それを聞いて目玉だけでもとってくればよかったかな、と思ったけれど、魔物の死んでいる顔を思い出してやめた。やっぱり怖い。


「いいんだ。あそこの浄化も済ませてある。普通に触って大丈夫だ」


王太子殿下がそう言って飲み物を飲んだ。魔物の浄化が済むまでは素手で触ってはいけないことをここで初めて知った。それは今まで大変だっただろう。


「浄化が済んでいるのですか?どうやって」

「それは秘密だ」


王太子殿下が愉快そうに笑った。私の魔力切れはさっき甘い飲み物を飲んだためか腕の痺れは取れている。もっと甘い飲み物を飲もうかな、と思っていると扉が開いた。


「なんだよ、客かよ」


入ってきたのは若い男だった。尊重がその男を見て顔を顰める。


「挨拶しろ!恐れ多くも王太子殿下だぞ」

「しねえよ、うるせえな」


そういった男は私たちの顔を見て、また出ていってしまった。なんだあいつは、と思っていると尊重が頭を下げる。


「大変申し訳ありません、息子でして」

「大丈夫だ」


王太子殿下がそう言って、ギリウス王子は不愉快そうに眉を顰める。リャト王子は首をすくめていた。三者三様の反応に、それぞれらしさが出ている。


「悪いが、今日はここで泊めてもらうぞ」


主の目的は宿泊場所の確保だ。この村には宿屋がない。困っていたら尊重が声をかけてくれたのだ。どうぞ私の家に泊まってください、と。今日一日ご厄介になることになった。もう少し進めば、子爵の屋敷があるらしいけれど、私とリャト王子の様子を見て、王太子殿下がこれ以上進むのは得策ではないと判断した。


私としては右腕の痺れもあったから、少しでも早く休みたかった。だから本当にアチ難かった。


「それでは部屋にご案内します」


そう言って村長は部屋に案内をしてくれた。

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