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呪われ王子と金次第聖女※第二章完結  作者: まる
第二章

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馬に乗るには

「何をおっしゃいますか。そんな危ないこと、できるわけがないでしょう」


その言葉に眉間に皺がよるのがわかった。できるわけがないと言う言葉は声掛けとして不適切だろう。本人が一緒に生きたちと言っているんだから、と思ってから、マーロ様を見てその必死な様子に、ああ、本当に心配をしているんだな、とわかっておしだまる。


「で、でも、い、行ってみたい」

「どれほど危険な目に遭うのかもわからないんですよ」

「で、でも」


マーロ様も必死な様子だが、リャト王子も譲らない。どうするのかな、と思って王太子殿下をみると、王太子殿下も驚いている様子だった。そして静かにことの成り行きを見守っている。


「リャト、怪我をするかもしれないんだぞ」


ギリウス王子が静かな声でそう言った。私もそれには頷いておく。何があるかわからないのが旅だ。それにアルルには魔物がいる。私は怪我をしても癒しの力が使える。王太子殿下とギリウス王子は自分の身を自分で守れるだろう。でもリャト王子は、す思ってリャト王子をみるとまた俯いてしまった。


「で、でも、い、行きたい。つ、連れて行って、く、ください」


俯いたままそういったリャト王子にマーロ様がリャト様、と名前を呼んだ。大きく息を吸ってから息を吐く。


「馬に乗る練習をしようと思っていたんです」

「馬?」

「はい、いつまでも王太子殿下のご厄介になるのはと思いまして」

「俺はいいぞ」

「だから、出発を遅らせてもらおうと思っていました。その間、リャト王子はギリウス王子でも王太子殿下でもいいので鍛錬してもらうのはいかがですか」


助けようと思ったわけではない。でも本人が行きたいと言っているんだから行かせてやるのもいいだろうとは思った。こないだテスの騎士団入隊を反対したことを思い出した。結局私の心配はテスの心を無視していた。


鍛錬してもらうのはいかがですか、と言った私を王太子殿下が意外そうに見る。ギリウス王子は表情を変えない。リャト王子が俯いていた顔を上げて、私のことを見た。


「リャト王子は馬に乗れますか」

「ま、前は、の、乗れたけど」

「それならそれも練習が必要です。馬の練習は私としましょう」


私の言葉にリャト王子の顔が輝く。マーロ様はリャト王子を見て、私を見て、それから王太子殿下とギリウス王子のことを見た。そして覚悟を決めたように口を開く。


「私もついて行ってもいいですか」


マーロ様の表情は真剣だった。リャト王子を守るためについてくるのだろう。王太子殿下をみると、王太子殿下は笑っていた。


「いいだろう。どうせ旅の準備もある。一ヶ月、リャトを鍛え直そう。そしてフューイと馬に乗る練習を」


王太子殿下の言葉にリャト王子の顔が輝いた。引きこもっていたらしいから体力も落ちているだろう。まずは基本的な運動からかな、と思っているとリャト王子とめがあった。


「よろしくお願いします」


そう言って頭を下げるとリャト王子も頭を下げてくれた。




「馬に乗るときは背筋を伸ばしてください。しっかり腿で馬を挟んで。落ちますよ」


マーロ様は予想以上に厳しかった。私は基本的な馬にまたがるところからできず、リャト王子は馬に跨がれるものの、馬の暴走を許してしまった。見にきていた王太子殿下が馬の暴走を並走して止めてくれたけど肝が冷えた。


「そうです、上手ですよ」


柵の内側を馬に乗って歩く練習をしている。一週間でなんとかここまでは来られた。でもずっと馬に乗っているせいでお尻が痛い。王太子殿下に馬の世話もした方がいいと言われて、馬のお世話もサsテモr†ている。初日に髪の毛を食べられたのもいい思い出だ。


「リャト様、だいぶ感覚を思い出されましたね」


リャト王子は前に乗ることができたというだけあってすぐに馬に乗れるようになった。今は少し速く馬を駆けさせている。リャト王子とマーロ様ともだいぶ距離は近くなった。なんと言っても一日の半分は一緒にいるのだ。必然的に距離も近くなる。


「今日はここまでにしましょうか」


マーロ様の声で馬を止めて馬からずりずりと降りる。馬の口元を撫でてやると気持ち良さそうに擦り寄ってくれた。私の馬は気性もおとなしく、性格もいい。リャト王子の馬もそうだ。その代わり何かあったときは動揺しやすいかもしれない、と馬番に言われた。


「リャト王子、これから鍛錬ですか」

「そ、そうだよ」

「頑張ってくださいね」


二人で馬を連れて厩舎に戻る。馬をつないでいると、王太子殿下が現れた。


「順調か」

「はい、だいぶ乗れるようになってきました」

「そうか。リャト、昼を食べたら鍛錬だ」

「は、はい」


それだけを言いにきたのだろうか、と思っていると王太子殿下が私のことを見ているのに気づいた。もしかして腹の呪いが痛いのだろうか。そう思って近寄ると、頭を撫でられた。


「頑張ってるな」

「ありがとうございます?」


お礼を言って撫でられた頭を触る。王太子殿下がリャト王子と屋敷に戻って行くのを見送る。なんだったんだ、と思っていると背後に人がたった気配がして慌てて振り向く。そこに立っていたのはギリウス王子だった。


「うわ」

「うわ、とはなんだ」

「どうしてこちらに?」

「…今日はここら辺の掃除だ」


ギリウス王子はそう言って袋にゴミを入れ始める…私もなんとなくそれを手伝うことにした…大体綺麗に掃除されているからゴミはほとんど落ちていない…でも落ち葉は多い…これで焚き火とかしたいな、と思っているとギリウス王子に見られていることに気づいた…


「なんですか」

「…なぜ手伝う」

「このまま部屋に戻っても暇なので」


正直な気持ちを答えると、ギリウス王子がふん!と鼻を鳴らした。最近はこの鼻を鳴らすのが照れ隠しなのかもしれないと思えるようになってきた。


「リャト王子の鍛錬はどうですか」


ギリウス王子は王太子殿下と一日交代でリャト王子の鍛錬を見てくれている。面倒見もいいんだな、と思った。


「順調だ。リャトは優秀だ」

「よかったです」


ずっと弟のことは優秀だと認めている。それがリャト王子にとっての心の支えになっていたんだろう、と言うことは予想がつく。ギリウス王子のことをチラリとみると、なんだ、とすぐに鋭い声が飛んできた。


「なんでもありません」


やっぱり根は悪い人ではないんだろうと思った。


2025年もありがとうございました。

良いお年を!

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