一万円札
シーン:2024年11月 高蔵寺スープリームコートタワーレジデンス 最上階 松川永史の部屋
(夜景が見える広いリビング。落ち着いた照明が照らす中、松川永史が用意した茶器で高級緑茶「玉露 金閣」を淹れている。あおいはソファに座り、少し緊張した面持ちで松川永史を見つめる。)
松川永史
「はい、どうぞ。」
(湯呑をあおいの前に差し出す。)
あおい
「ありがとうございます。」
(湯呑を受け取り、一口飲む。)
「……おいしい……。」
松川永史
(軽く微笑みながら、あおいの向かいに腰掛ける。)
「それで……。今日はどうしたの?」
(あおいは湯呑を両手で包み込み、深呼吸するように息をつく。)
あおい
「……お父さんが病気になりました。腫瘍が見つかって、手術が必要なんです。」
松川永史
(表情が曇る。)
「……そうだったのか……。」
あおい
「それで、治療にはすごくお金がかかるって……。お父さんもお母さんも、すごく申し訳なさそうに謝ってきて……。でも……。」
(言葉に詰まり、目を伏せる。)
松川永史
(静かにあおいの言葉を待つ。)
あおい
「……東大に行くためのお金が用意できないって言われました。」
(涙をこらえながら、顔を上げる。)
「松川さん……お願いがあります。」
(あおいは湯呑を置き、松川永史の前で深く頭を下げる。)
あおい
「どうか、東大に進学するためのお金を貸してください!卒業したら、何年かかっても、必ずお返しします!お願いします!」
(松川永史は驚いた表情を一瞬見せるが、すぐに優しい目になる。あおいを見つめながら黙って考え込む。)
(リビングには静けさが流れる。やがて松川永史は、そっと立ち上がり、ヴェルサーチの財布を取り出す。そして中から一万円札を1枚抜き取り、あおいの前に差し出す。)
あおい
(驚きと戸惑いの表情。)
「……これは?」
松川永史
「俺があおいちゃんに貸してあげられるのは……これだけだ。」
(あおいは肩を落とし、悲しそうな目で松川永史を見つめる。)
あおい
「そんな……。」
松川永史
(その表情を見て優しく微笑む。)
「話はまだ終わっていないよ。」
(真剣な表情に戻り、あおいの目を見つめる。)
「いいかい、俺の言うことをよく聞いて。」
(あおいは涙をこらえながら、松川永史の言葉を待つ。)




