2024年 11月
シーン:2024年11月 あおいの家 リビング
(静かなリビング。あおいの両親が深刻な表情で座っている。あおいも固い表情で二人の話を聞いている。)
あおいの父
「……病院で精密検査を受けた結果、腫瘍が見つかったんだ。」
あおい
「……腫瘍?」
あおいの母
「お父さん、手術が必要なの。それにその後もしばらくは療養が必要だって。」
(あおいは息をのむように、目を父に向ける。)
あおいの父
「治療には……思った以上にお金がかかる。それで……本当に申し訳ないが……。」
(しばらく言葉に詰まる父。母が代わりに話を続ける。)
あおいの母
「……だから、東京への進学は、諦めてほしいの。本当にごめんね。」
(あおいは呆然とした表情で、言葉が出ない。)
あおい
「……そんな……。」
(リビングに重苦しい沈黙が流れる。)
シーン:あおいの家 自室
(あおいの部屋。あおいがベッドに腰掛け、拳を握りしめたまま動かない。目には涙が浮かんでいる。)
あおい(心の声)
「……今まで頑張ってきたのに……。東大を……諦めなきゃいけないの?」
(涙が一筋、頬を伝う。あおいは顔を伏せ、静かに泣き始める。)
あおい(心の声)
「こんな……こんなことって……。」
(ひとしきり泣いた後、あおいは顔を上げる。涙を手で拭き、意を決したようにスマホを手に取る。)
(スマホを操作してLINEを立ち上げる。震える指でメッセージを打ち込む。)
あおい(打ち込む内容を口にするように)
「急にすいません、会えませんか。」
(少しの間、送信ボタンを押せずにいるが、やがて深く息を吸い込み、画面を見つめる。)
あおい
「……松川さん……。」
(送信ボタンを押す。その瞬間、あおいの顔にはわずかな不安と希望が入り混じる




