俺の女
シーン:2024年10月 内津峠 夜
(ギャラリーが騒ぎながらもバトルの余韻に浸っている中、あおいは静かに立ち尽くし、今見た出来事を反芻している。)
あおい(心の声)
「さっきの走り……松川さん、どうしてあんなことができるの?」
(ふと周囲を見渡すが、男子2人組の姿が見当たらない。)
あおい
「あれ、いない……はぐれちゃった?」
(ポケットを探るが、スマホが見つからない。)
あおい
「え、スマホ……もしかして忘れてきた?どうしよう……。」
(不安そうに周囲を見回すあおい。そのとき、背後から威圧的な声が聞こえる。)
ガラの悪い男A
「おい、ねえちゃん。ひとりか?俺たちと遊ぼうぜ。」
(あおいがぎこちなく振り返ると、体格がよくガラの悪そうな男2人組がにやにやと近づいてくるのを目にする。)
あおい
「いえ、いいです。一緒に来ている人がいるので。」
ガラの悪い男B
「そんなこと言わずにさ、俺たちと楽しいことしようぜ。」
(男Bがあおいの腕を掴む。)
あおい
「やめてください!」
(あおいの声に周囲のギャラリーも気づくが、男たちの威圧感に押されて動けず、ただ見ているだけ。)
ガラの悪い男A
「いいじゃねえか、ちょっとだけだって……。」
(そのとき、不意に背後から冷静な男の声が響く。)
???
「俺の女に何か用かい?」
(あおいを掴んでいた男の手が止まり、全員が声のする方を振り返る。白いスーパーカブの横にヘルメットをかぶった男が立っている。)
ガラの悪い男A
「……誰だてめえ?」
(男がゆっくりとヘルメットを脱ぐ。メガネをかけ、ヒゲを伸ばした精悍な顔が現れる。)
あおい
「松川さん……!」
ガラの悪い男B
「松川……あ?」
松川永史
「そう、俺の名前は松川永史。このあたりじゃ“頭文字E”って呼んだほうがわかりやすいかな。」
(男たちは明らかに動揺し、後ずさりする。)
ガラの悪い男A
「あ、ああ、松川さん……失礼しました!」
ガラの悪い男B
「す、すいません……!」
(男たちはそそくさと逃げていく。静寂が戻り、周りのギャラリーもほっとした様子でざわつき始める。)
(あおいはその場で呆然と立ち尽くし、目の前の松川永史を見つめる。)
松川永史
「帰ろう。」
(スーパーカブを指さし、やさしく微笑む。)
松川永史
「後ろに乗って。」
(あおいは少し戸惑いながらも、松川永史の隣へと歩み寄る。彼女の顔には安堵と尊敬の色が浮かんでいる。)
(白いスーパーカブのエンジン音が響き、松川永史とあおいを乗せた車体が夜の峠を走り出していく。)
シーン終了




