2024年 9月
シーン:2024年 9月 春日井東陵高校 校門前
(夕焼けが校門を染める中、あおいが校舎から出てくる。校門の前には市山礼が立っている。髪が伸びて、美容室で整えられた端正な髪型が、彼の顔立ちをさらに引き立てている。)
あおい
「市山くん?どうしたの?」
市山礼
「途中まで一緒に帰らないか?久しぶりだし。」
(あおいは少し驚きながらも、微笑んで頷く。)
あおい
「うん、いいよ。」
(二人は並んで歩き始める。吹き抜ける風が心地よい。)
市山礼
「実はさ……俺、大学に行くことにしたんだ。」
あおい
「大学?でも市山くんなら、プロに行けるんじゃないの?」
(あおいが少し驚いたように市山の方を向く。市山は前を見据えたまま、穏やかな表情で話す。)
市山礼
「あの松川さんとの勝負以来、ずっと考えてたんだよね。高校から直接プロに行っても、今のままじゃ通用しないんじゃないかって。」
(市山が拳を軽く握る。)
市山礼
「だから大学で4年間、鍛え直す。そこからプロを目指した方がいいと思ったんだ。」
あおい
「そうなんだ……。それで、どこの大学に行くの?」
市山礼
「M-Eiji大学だよ。」
あおい
「M-Eiji大学って、東京の?」
市山礼
「そうそう。野球が強くてプロもいっぱい出てるんだ……。」
(市山が少し照れくさそうに笑う。)
「おお~M-Eiji~その名ぞ吾等が母校~♪……もう校歌も覚えちゃったよ。」
(あおいはクスッと笑いながら、市山の明るさに少し感心する。)
市山礼
「M-Eiji大学には日本中から上手い奴らが集まってくる。俺はその中でレギュラーを勝ち取って、4年後には、5球団競合のドラフト1位としてプロ野球選手になってみせる。」
(市山は自信たっぷりに胸を張り、あおいの目を真剣に見つめる。)
市山礼
「その決意を、あおいさんに伝えたかったんだ。」
(あおいは市山の真剣な目に少し圧倒されつつも、彼のひたむきさに心を打たれる。)
あおい
「市山くん……すごいね。将来のことをこんなに真剣に考えてるなんて……。」
(市山はあおいの言葉に少し照れたように笑い、話を続ける。)
市山礼
「それでね、M-Eijiと東大は、同じ野球のリーグなんだ。東大戦のときには、絶対見に来てよ。」
(あおいは少し困ったように笑う。)
あおい
「でも……私、まだ東大生になれるって決まったわけじゃないよ。」
市山礼
「いや、あおいさんなら絶対に合格する。」
(市山は無邪気に笑い、あおいをまっすぐ見つめる。その笑顔に、あおいもつられて少しだけ笑みを浮かべる。)
(二人の後ろには、秋風に揺れる木々と、夕焼けに染まる通学路が広がる。)




