視聴覚室
春日井東陵高校
(放課後、視聴覚室であおいが掃除をしている。)
あおい
「ふぅ…あと少しで終わりね。」
(棚の上のほうを拭きながら、ふと目に入ったプロジェクターを見ると、そこに「寄贈 松川永史 (昭和63年卒)」と書かれているのを見つける。)
あおい
「えっ…!? 松川永史!」
(思わず声を上げるあおい。ちょうど通りかかったクラスメートが心配そうに視聴覚室を覗く。)
クラスメート
「え?どうした?あおい、大丈夫?」
あおい
「あっ、ううん!なんでもないの!ちょっと…ゴキブリと見間違えただけだから…。」
(ごまかしつつも、心臓がドキドキしているのを感じながら、あおいは内心興奮を抑えられない。)
あおい(心の声)
「松川さんが…東陵の卒業生だったなんて…!」
(学校の資料室前、あおいが入口の鍵を用務員に開けてもらっている。)
あおい
「すいません、わざわざ開けてもらって、ちょっと学校の歴史について調べ物をしてまして。」
用務員
「いやいや、じゃあ帰るときは施錠を忘れずに、カギは職員室に返してくださいね。」
あおい
「はい、ありがとうございます。」
(資料室の中に入ると本棚を探し、そこにあった同窓会名簿を手に取る。)
あおい
「もし…もし松川さんの名前があったら…」
(震える手で名簿をめくり、卒業生のページを一枚一枚確認していく。やがて、ついに見つける。)
あおい
「あっ…!松川永史…!」
(あおいは目を見開き、名前の隣に書かれた住所を確認する。その住所に息を呑む。)
あおい
「高蔵寺スープリームコートタワーレジデンス…!?駅前の!?」
(驚きと興奮が入り混じった表情で、その住所をじっと見つめるあおい。まるで夢を見ているような気分で、その名簿を胸に抱きしめる。)
あおい(心の声)
「松川さんが…あの高層タワーマンションに住んでるなんて…。」
(胸の高鳴りに包まれて資料室を出るあおい、その姿を遠くから見つめる人影に気づくことはない。)