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決勝戦

シーン:2024年7月 岡崎レッドダイヤモンドスタジアム 愛知大会決勝


(快晴の下、スタジアムには大勢の観客が詰めかけている。バックネット裏の席には、松川永史が帽子を深くかぶり、サングラスをかけて座っている。そのヒゲの見事さと佇まいから、彼の存在感は否応なく目立っている。周囲にはプロのスカウトたちが陣取り、試合に熱い視線を送る。)


場内アナウンス

「3番 ショート 市山くん」


(打席に立つ市山礼。ピッチャーが投じた内角低めのストレートを鋭く振り抜き、一塁線を破るツーベースを放つ。)


スカウトA(前列で立ち上がりながら)

「すごい打球だ! あの内角をフェアゾーンに入れるとは……」


スカウトB(興奮気味に)

「いや、この場面であれは驚異的だ!」


(松川は市山の走塁を見つめながら、静かに口元を緩める。)


松川永史(心の声)

「四月の頃とは全然違うな、市山君……打撃に安定感が出てきた。冷静さも増して、チームの柱として堂々としている。」


(守備でも市山が魅せる。ボテボテの内野安打と思われた当たりに猛然とダッシュし、素早くアウトにするプレーに、スカウトたちが再び色めき立つ。)


スカウトC

「今の日本でこれより上手いショートは……源田ぐらいか。」


(その言葉に、松川も小さく頷く。)


松川永史(心の声)

「確かに。捕球から送球までの速さと正確さ……まさにプロレベルだ。ここまで来るとはな、市山君。」


(試合は最終回。春日井東陵が1点ビハインドで2アウトランナー1塁の場面。市山が打席に立つと、スタジアム全体の緊張感が最高潮に達する。)


場内アナウンス

「3番 ショート 市山くん」


(市山がピッチャーをにらみつけ、バットを握り直す。カウントは2ボール0ストライク。投じられたストレートを芯で捉えると、打球は高く舞い上がり、右中間方向へ飛ぶ。観客は総立ちになり、松川も思わず立ち上がる。)


観客 (ざわめき)

「いったか……!」


(だが、逆風を受けた打球は右中間フェンス手前で失速し、外野手のグラブに収まる。)


(試合終了の瞬間、観客から惜しみない拍手が鳴り響く。泣いている観客の姿もちらほら見える中、両校の選手たちが整列して礼をする。)


(松川は静かに帽子を取り、拍手を送る。その表情には感慨深げなものが浮かんでいる。)


松川永史(心の声)

「市山君……君の高校野球生活、確かに見届けたぞ。四月のあの対決から、ここまで成長した姿を見られるなんて……立派だったよ。」


(市山がチームメイトに励まされながらベンチへ戻る後ろ姿を、松川はじっと見つめている。)


(青空のもと、スタジアムに集った人々の拍手はいつまでも鳴り止まない。)


シーン終了

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