放課後 屋上
(放課後、あおいが帰ろうとすると下駄箱の中に手紙を見つける。)
あおい
「『屋上で待ってます。』誰だろう…。」
(風が吹き抜ける屋上に足を踏み入れると、そこには野球部主将の桐山礼が立っている。)
桐山礼
「あおいさん…来てくれて、ありがとう。」
あおい
「あ…桐山くんだったんだ。」
(桐山は真剣な目であおいを見つめ、少し緊張しながらも一歩前に出る。)
桐山礼
「あおいさん、俺、ずっとあおいさんを見てました。強い意志を持ってて、周りの誰よりも輝いている。受験も近いのに告白なんて迷ったけど、伝えないと後悔するって思って…」
(あおいは驚いた表情を見せるが、すぐに微笑んで静かに話す。)
あおい
「…ありがとう。でも、今は勉強に集中したいから、ごめんなさい。」
(桐山は一瞬残念そうな表情を見せるが、やがてうなずき、納得したように笑みを浮かべる。)
桐山礼
「そっか…。でも、俺もあおいさんに負けないくらい頑張るよ。…ありがとう、来てくれて。」
(あおいは再び軽く微笑み、頭を下げる。屋上から立ち去ろうと、桐山に背を向けて歩き出す。)
桐山礼
「あおいさん…!」
(その声に立ち止まり、振り返るあおい。風が吹き抜け、二人の間に静かな時間が流れる。)
桐山礼
「俺、東陵を絶対に甲子園に連れて行く。…そして、ドラフトで指名されて、プロになってみせる。」
(桐山は力強い目であおいを見つめ、声に決意を込めて叫ぶ。)
桐山礼
「だから…君にふさわしい男になって、必ず、また迎えに行く!」
(あおいは驚き、桐山の真剣なまなざしに一瞬圧倒されるが、やがて穏やかな微笑みを浮かべる。)
あおい
「…うん、お互いに頑張ろうね。」
(二人は互いに視線を交わし合う。あおいは再び小さく微笑み、背を向けて歩き出す。)
(桐山はその姿を見送りながら、拳を握りしめて誓うように立ち尽くす。)
(あおいが屋上のドアを閉め、階段を降りる音が響く。桐山は一人、屋上で風を受けながら、決意を新たにその場に立ち続けている。)