運命の波に飲まれて
2024年6月 高蔵寺スープリームコートタワーレジデンス 最上階 松川永史の部屋
(広々としたリビングルーム。大きな窓から夕焼けが見える。松川永史はソファに腰掛け、片手にタブレットを持ちながら仕事の資料を眺めている。静かな部屋に突然、LINEの着信音が響く。)
(松川は眉を少しひそめ、近くに置いていたスマートフォンを手に取る。画面を見ると、メッセージが1件届いている。)
(彼の表情が一瞬硬直し、すぐに柔らかく変化する。画面には短いメッセージが表示されている。)
メッセージ:
「会いたいです。マンションに行ってもいいですか?」
(松川はしばらくそのメッセージをじっと見つめる。親指が画面に触れ、何度かスクロールするが、すぐに止まる。ふと視線を遠くへやり、つぶやくように口を開く。)
松川永史
「あおいちゃん…。」
(彼はスマートフォンをそっとテーブルに置き、深く息をつく。胸に手を置き、微かに眉を寄せる。)
松川永史(心の声)
「胸が締め付けられる…。こんなにも強く、こんなにもはっきりと。」
(ふと、寿司職人の言葉が脳裏に浮かぶ。)
寿司職人の声(回想)
「もう運命は動き出したんだから。松川さんは身をまかせて、どうなっても、それを受け入れればいいんです。」
(松川は再び窓の外に目をやる。茜色に染まる空が、部屋全体を優しく包み込むように広がっている。彼は目を閉じ、一瞬だけ静かに思考を巡らせる。)
松川永史(心の声)
「運命の波に飲みこまれて、俺はどこへ行くのだろうか。」
(彼は再びスマートフォンを手に取り、メッセージを見つめる。迷いを振り払うように、小さく微笑み、画面に指を滑らせる。)
(画面に短い返信が表示される。)
返信メッセージ:
「もちろん、待っているよ。」
(彼はスマートフォンをテーブルに戻し、夕日を浴びながら再びソファに深くもたれる。静かな部屋の中に、鼓動の音だけが微かに響いているようだ。)
(シーン終了)




