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2023年 冬 パリ

シーン:2023年冬 パリ 14区 小さなビストロ


(モンパルナス通りの奥まった道にある小さなビストロ。夕暮れ、店主が開店準備をしている。暖かい光が外に漏れ始める頃、入口のドアが開く。)


店主

「Nous ne sommes pas encore ouverts, monsieur...」

(まだ開店していませんよ、お客さん…)


(顔を上げた店主の目が驚きに見開かれる。)


店主

「Incroyable ! C'est toi, Matsukawa-san ! Ça fait combien de temps ?!」

(なんてこった!松川さんじゃないか!何年ぶりだ?)


松川永史

「Arrête avec les formalités. Dis juste Eiji. Ça fait plaisir de te revoir, mon vieux.」

(よそよそしいな。永史でいいよ。また会えて嬉しいよ、相棒。)


(二人はしばし熱い握手を交わし、再会を喜び合う。)


店主

「Qu'est-ce que tu veux manger ? Quelque chose de spécial ?」

(何を食べる?特別なものでも?)


松川永史

「Surprends-moi. Et apporte du vin. J'ai une faim de loup.」

(おまかせするよ。あとワインもな。腹が減ってしょうがないんだ。)


(店主は笑いながら準備を始める。数分後、テーブルには冬のパリの味覚が並ぶ。)


(店主が一皿目を運んでくる。)


店主

「Voici une soupe à l'oignon gratinée, avec du pain maison. Le vin est un Châteauneuf-du-Pape rouge, pour commencer doucement.」

(グラタン風のオニオンスープだ。自家製パンと一緒にね。ワインはシャトーヌフ・デュ・パプの赤、最初は軽めにな。)


松川永史

「Excellent choix. Comme toujours, tu sais ce que je veux avant même que je le dise.」

(いいセレクトだ。相変わらず、俺が何を望むか、言う前にわかってるな。)


店主

「C'est mon boulot, non ? Allez, bon appétit.」

(それが仕事だからな。さあ、召し上がれ。)


(松川がスープを味わいながらワインを一口飲む。)


(メインディッシュが運ばれる。)


店主

「Le plat principal : un canard à l'orange, accompagné d'une purée de céleri-rave. Avec un Bourgogne rouge, intense mais raffiné.」

(メインディッシュだ。オレンジ風味の鴨肉にセロリアックのピューレを添えて。濃厚だが上品なブルゴーニュの赤ワインと一緒に。)


松川永史

「Parfait. C'est pour ça que je reviens toujours ici. La cuisine, le vin... c'est une véritable symphonie.」

(完璧だ。これだからここに通い続けるんだ。料理とワイン……本当に交響曲みたいだよ。)


(ワインを味わいながら、ふと遠い目をする松川。あおいの姿が心に浮かぶ。)


松川永史(心の声)

「あおいちゃんがここにいたら……冬のパリを歩く彼女、どんな服が似合うだろう。」


(店主がデザートを持ってくる。松川永史が何気なくため息をつくのを見て、興味深そうに声をかける。)


店主

「Tu as changé, Eiji. Tu sembles... différent. Plus calme, peut-être.」

(永史、お前なんか変わったな。なんだろう…落ち着いた感じがする。)


松川永史

「Tu crois ? Je ne vois pas de différence.」

(そうか?自分ではわからないな。)


店主

「Oh si, je le vois. J'ai vu passer des milliers de clients ici. Toi, tu es amoureux, pas vrai ?」

(いや、わかるさ。俺はここで何千人もの客を見てきたんだ。お前、恋してるんだろう?)


(松川が一瞬ドキッとし、動揺を隠すように顔をそらす。)


松川永史

「Arrête de dire des conneries. Apporte-moi une autre bouteille.」

(くだらないこと言ってんじゃねえ。ワインもう一本持ってこい。)


(店主が笑いながらワインを取りに行く。松川はグラスの中のワインを見つめながら、そっと微笑む。)

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