胸を張れるように
シーン:2023年6月 あおいの自宅 部屋
(夜。あおいの部屋の机には数学の参考書とノートが広げられている。小さなスタンドライトがページを照らし、部屋は静寂に包まれている。)
(あおいはペンを持ち、ノートに証明の続きを書き込む。)
あおい
「よって、…であることが証明されたっと…。」
(ふとペンを止め、考え込む。)
あおい
「あ、いけない。等号成立条件も書かなきゃ。」
(ノートにさらさらと書き加え、ようやく手を止める。)
あおい
「ふぅ…。」
(ペンを置き、軽く伸びをする。疲れた表情の中に、どこか充実したものを感じさせる。)
(ふと、脳裏に松川永史の穏やかな微笑みが浮かぶ。)
あおい(心の声)
「みんな、かわいくなったって言ってくれるけど…中身もちゃんとしなきゃ。」
(そっと自分の手を見つめる。)
あおい(心の声)
「もう松川さんに会えないかもしれない。でも…もし会えたら、自分が頑張っているって、胸を張れるように。」
(小さく微笑み、ノートを閉じる。)
あおい(心の声)
「それに…やってみると勉強も案外楽しい。わからないことが少しずつわかるようになって、世界が広がっていく感じがする。」
(机の上の時計を見る。針はもうすぐ12時を指そうとしている。)
あおい
「もう12時近いか…。」
(机の隅に置いてある英単語帳を手に取る。)
あおい
「あとは、英単語をやってから寝よう。」
(静かな夜、あおいは一人、前を向いて努力を続ける。)
(シーン終了)