決勝戦
シーン:2024年 7月 高校野球夏の愛知県大会 決勝戦後 球場の駐車場
(夕方の駐車場。試合後の興奮と余韻が残る中、あおいと市山礼が静かに向かい合っている。市山はユニフォーム姿のままで、試合の疲労が顔ににじむ。)
市山礼
「応援、来てくれてありがとう。スタンドであおいさんの姿、見えたよ。」
あおい
「……お疲れさま。すごく頑張ってたね。」
(市山は少し俯き、拳を握りしめる。)
市山礼
「……約束を守れなくて、ごめん。」
あおい
「市山くんは、本当に頑張ってた。最後まで諦めずに……すごかったよ。」
(市山の拳が震え始める。目を上げると、その瞳から涙があふれ出す。)
市山礼
「勝ちたかった……どうしても勝ちたかった……!勝って甲子園に行って……あおいさんを甲子園に連れて行きたかったんだ!」
(市山の声が震え、涙が頬を伝う。あおいは言葉を失い、じっと市山を見つめる。慰めの言葉を探すが、声にならない。)
(その時、静かな駐車場に突然けたたましいエンジン音が響き渡る。)
あおい
「……この音……。」
(エンジン音は鋭く、力強い。それが何かを思い出したように、あおいは目を細める。)
あおい
「……ランボルギーニ?松川さん……見に来ていたの……?」
(あおいが振り返ろうとするが、エンジン音はすでに遠ざかり、彼方に消えていく。風が二人の間を通り抜ける。)
(市山はその音に気づくことなく、ただ涙を流し続けている。あおいはそっと市山の肩に手を置くが、目線は遠く、去っていった車の方を向いている。)
(シーン終了)




