高校の教室
(放課後の教室。窓から午後の柔らかい光が差し込み、あおいはぼんやりと外の景色を眺めている。松川永史と過ごしたあの日が夢のように思い出され、自然と彼のことを考えてしまっている。)
あおい(心の声)
「あれからもう1か月か…松川さん、あの日から何も連絡がないな…。」
(彼の優雅で落ち着いた表情、穏やかな微笑みが頭の中に浮かぶ。)
あおい(心の声)
「夢のような時間だったけど、あんなかっこいい人には、きっと他にもたくさん女性が寄ってくるに決まってる。そもそも…私なんか、松川さんの相手にはなれないよね。」
(ふと、自分の考えに少し笑ってしまう。)
あおい(心の声)
「松川さん…いまどこで何をしてるのかな。」
(そのとき、クラスメートの女子たちがあおいの席に近づいてくる。)
クラスメートA
「ねえ、あおい、何考えてんの?さっきからぼんやりしてたけど。」
(あおいが一瞬ハッとして、表情を整える。)
あおい
「え? あ、なんでもないよ、別に。」
クラスメートB
「本当に? でも、最近のあおい、なんか変わったよね。すごく可愛くなったってみんな噂してるよ。なんかいいことでもあったの?」
(クラスメートたちがニヤニヤしながらあおいをからかうように見つめる。あおいは一気に顔が赤くなり、あわてて否定する。)
あおい
「な、なにもない、なにもないです!本当に!そ、そんなの全然…」
クラスメートA
「えー? 本当かなぁ?顔真っ赤だよ、あおい!」
クラスメートB
「なんか隠してるでしょ?」
(クラスメートたちの追及に、あおいはさらに焦って首を振る。)
あおい
「本当になにもないから!ただ、最近ちょっとメイクとか勉強してるだけで…!」
(クラスメートたちは、少し怪しみながらも、あおいの答えに納得するように引き下がる。)
クラスメートA
「まぁ、そういうことにしといてあげるよ。でも、いいことあったらちゃんと教えてね!」
(あおいは笑顔を浮かべている友達たちに軽くうなずくが、心の中では複雑な気持ちが渦巻いていた。)
あおい(心の声)
「松川さんとのことなんて、誰にも言えないよ…だって、きっともう二度と会えない人だもんね。」
(教室の喧騒に戻りつつ、あおいは心の中でそっと松川のことを思い出す。)