2019年6月 東京 六本木
シーン:2019年6月11日 東京 六本木 高級キャバクラ
(高級感あふれるキャバクラの店内。煌びやかな照明がシャンパンタワーを輝かせる。その前に立つ店長が、ドンペリを開けながら声高に叫ぶ。)
店長
「さあ皆さん!我らが松川永史様!50歳の節目のお誕生日でございます!おめでとうございます!」
(歓声と拍手が店内に響く。ホステスたちが「おめでとうございます!」と口々に声をあげる。松川永史は微笑みながら、胸ポケットから数束の1万円札を取り出し、それを店中にばらまく。)
ホステスたち
「きゃー!」
「ありがとうございます、松川さん!」
(ホステスたちは床に散らばった札束を必死に拾い集める。彼女たちの姿を眺めながら、松川永史の表情にはどこか影が差している。)
(シャンパンタワーが完成し、再び歓声があがる。店内は一層の熱気に包まれる中、松川永史はふと立ち上がり、周囲を見渡す。)
松川永史
「疲れたから帰るわ。今日の分は請求書を回してくれ。他のお客さんの分も、俺が払うから。」
(店内が一瞬静まり返り、その後、感謝の声が一斉にあがる。)
店長
「ありがとうございます、松川様!本当にいつもお世話になっています。」
(店長が声を張り上げる。)
「みんなー!松川さんがお帰りになるぞ!ご挨拶!」
(店内のホステスやスタッフ、さらには一般客までもが一斉に立ち上がり、深々とお辞儀をする。)
店内全員
「松川さん、ありがとうございました!」
(松川永史は軽く会釈しながら、席を立つ。)
松川永史
「まあ、楽しんでくれ。」
(店内の視線を背に、ゆっくりと出口に向かう。その途中、一人の若いホステスが近づいてくる。)
ホステス
「ねえ、部屋にあとで行ってもいい?」
(松川永史は立ち止まり、少しの間だけ彼女を見つめるが、やがて首を横に振る。)
松川永史
「だめだ。今日は本当に疲れているから、寝る。」
(ホステスは寂しそうにうなずき、足を止める。松川永史はそのまま扉を開け、夜の六本木の街へと消えていく。)
(シーン終了)




