表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/37

退部

シーン:春日井東陵高校 野球部 監督室


(監督が厳しい表情で椅子に腰掛け、その前には「退部届」と書かれた封筒が置かれている。松川永史が冷静な表情で立っている。)


監督

「いったいどういうことなんだ?最近、練習をさぼってばかりで気になっていたが…辞めるなんて…。」


(監督は机の上に置かれた退部届を指差す。)


松川

「ですから、辞めるんです。」


監督

「ばかなことを言うな、お前がいなくなったら、甲子園なんて夢のまた夢だ。」


松川

「俺が甲子園なんか興味がないってことは、監督も知ってるでしょ。」


監督

「ああ、知ってる。でもプロには行くつもりなんだろう? 俺のところにももう何球団からも話がきている。うち以外の球団から指名されたら社会人に行くって言えば、裏金で契約金の何倍もの金額を払うって言ってる球団もあるんだぞ。」


(松川永史があきれた表情で監督を見つめる。)


松川

「…あんた、教育者だろ。裏金とか口にして恥ずかしくないのか? うんざりなんだよ、あんたみたいなのに毎日どやされたり、時には殴られたりして過ごすのは。」


(監督は黙り込み、部屋には気まずい沈黙が流れる。)


松川

「とにかく俺はもう決めたんです。野球はやりません。だからもう、あなたは俺の監督じゃない。」


(松川永史は静かに踵を返し、監督室のドアに向かって歩き出す。)


監督

「まて、まってくれ…松川、考え直してくれ…頼む!」


(監督の必死な声がむなしく響くが、松川は一切振り返らずに去っていく。)



シーン:二週間後


(松川永史の顔には、野球と訣別した証として、ヒゲが伸びている。)


(彼の目には迷いはなく、確固たる決意が宿っている。)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ