試合後
シーン:試合後のEM学園ベンチ前
(EM学園のキャプテン横波がメンバーを集め、語り始める。)
横波
「これが練習試合でよかったわ。春優勝したからゆうて、夏も優勝できる保証なんかどこにもあらへん。世の中には、俺らが知らんすごい奴がまだまだおる。もっと練習しようや。」
(メンバーたちは黙ってうなずく。横波は相手ベンチの方に向かって歩き出す。)
(松川永史がクールダウンのキャッチボールをしているところに、横波が近づく。)
横波
「今日はありがとうな。俺らの完敗や。」
(松川永史は無言で横波の言葉を聞き続ける。)
横波
「絶対甲子園に出てこいや。次は負けへん。」
(松川永史は少し笑い、冷静に答える。)
松川永史
「俺、甲子園には興味ないんだ。」
(驚いた表情で横波が松川を見つめる。)
横波
「なんでや? 甲子園目指してみんな必死にやっとるんやで?」
松川永史
「俺が野球をやってるのはプロになって金を稼ぐためだよ。それ以外のことには興味がない。」
(唖然とする横波に、松川が続ける。)
松川永史
「今日はプロのスカウトも見に来てたから、いいアピールができたよ。ありがとな。」
(横波は驚きと呆れが入り混じった表情で松川を見つめ、やがて笑みを浮かべる。)
横波
「なんやそれ、おもろいな。俺もプロには行くつもりや。俺に打たれて給料減らんように、せいぜい練習しとけよ。」
松川永史
「そっちこそ、夏の甲子園で俺よりレベルの低いピッチャー打って優勝してこいよ。でないと、ドラフトで指名してもらえないだろ。」
(二人は互いに笑い、軽くうなずき合う。)
(横波は自軍ベンチに戻り、松川永史もクールダウンのキャッチボールを再開する。お互いに次のステージでの再会を誓った、二人の熱い会話が心に残る。)