最後の勝負
シーン:9回表 2アウト2塁 松川永史 vs EM学園キャプテン横波 最後の勝負
(松川永史、冷静にキャッチャーのサインを確認すると、セットポジションに入る。)
(1球目:フォークボール)
横波
(心の声)「初球からフォークだと!?」
(思わず空振り、バットが空を切る。)
カウント:0ボール 1ストライク
(2球目:ストレート)
横波(心の声)
「やっぱり速い…!」
(横波はなんとかバットに当ててファウル。)
カウント:0ボール 2ストライク
(3球目:フォークボール)
(松川が再びフォークボールを投げ込む。横波は食らいつき、ファウルにする。)
横波(心の声)
「くそっ…、松川…」
カウント:0ボール 2ストライク
(4球目:再びフォークボール)
(松川のフォークボールに、横波は全神経を集中させファウルにする。)
横波(心の声)
「あぶねぇ…まだ終わらせない!」
(ここで松川が口を開く。)
松川永史
「俺のフォークをバットに当てたのはお前がはじめてだ。さすがだな、横波明義。」
(横波は険しい表情で松川を睨む。)
横波(心の声)
「フォークが2球続いた。次は絶対まっすぐが来る。今度こそ、打ち返してやる!」
カウント:0ボール 2ストライク
(5球目:スローカーブ)
(松川が投じたのは、横波の予想を完全に裏切るスローカーブだった。ボールはゆっくりと軌道を描きながら、横波の目の前を通り過ぎる。)
横波
(唖然としながら)「なん…? だと…?」
(ボールはキャッチャーのミットに収まり、審判が腕を挙げる。)
審判
「ストライク! バッターアウト!ゲームセット!」
(松川永史、静かにマウンドを降りる。横波は悔しそうにバットを握りしめたまま、ただ松川の背中を見つめている。)