1987年4月 愛知県内 某グラウンド
シーン:1987年4月 愛知県内 某グラウンド
(春の甲子園優勝を果たしたばかりの大阪エターナル・マジェスティ学園、通称EM学園の選手たちが、リラックスした雰囲気で試合前のストレッチをしている。)
EMの選手A
「春日井東陵?…どこやねんそれ。今日の練習試合は中邦高校とやったとちゃうんか?」
EMの選手B
「それが集団食中毒になって来られへんから、急遽決まった相手らしいで。」
EMの選手C
「ゆうて弱いんやろ。5回コールドで終わらせて、早よ大阪帰ろうや。」
(選手たちは余裕の表情を浮かべながら笑い合い、勝利を確信している様子。)
(試合開始、背番号1を付けた春日井東陵高校のピッチャーがマウンドに立つ。サインに頷くと、ゆったりとしたワインドアップでモーションに入る。)
(EMの選手たちがその様子を軽く見ている。)
EMの選手A
「なんや、のんびりしたフォームやな。」
(ピッチャーが第1球を投じる。鋭いストレートがキャッチャーのミットへ地面を這うように滑り込み、アウトコース低めいっぱいに決まる。)
(キャッチャーミットの音がグラウンドに響く。観客やベンチがその瞬間、ざわめき始める。)
EMの選手A
「…ん?!」
EMの選手B
「今の…何キロ出とったんや?」
(EMの選手たちが目を丸くして驚きの表情を浮かべる。)
EMの選手C
「たぶん140後半…やばい、めっちゃ速いぞ。」
(マウンド上のピッチャーはで淡々とボールを投げ込むが、その威圧感は確かにEMナインに届いていた。)
EMの選手A
「こ、これは…ちょっと本気でやらなあかんな。」
(EM学園の選手たちの顔から次第に笑顔が消え、焦りの色を浮かべ始める。そんな彼らの前に立ちはだかるのは、無名の高校・春日井東陵高校のエース、17歳の松川永史であった。)