高蔵寺スープリームコートタワーレジデンス
高蔵寺スープリームコートタワーレジデンス 最上階・松川永史の部屋
(あおいが部屋の中へと通されると、豪華で広々とした室内が広がっている。壁一面の大きな窓が雨で曇っており、外の景色はぼんやりとしている。)
松川永史
「天気がよい日は、ここから名古屋駅のツインタワーが見えるんだけど…今日はあいにくの雨だね。」
(あおいは再び松川に会えたことの方が大切で、景色など気にしていない。)
あおい(心の声)
「そんなのどうでもいい…こうして松川さんといられるだけで…」
松川永史
「ちょっと待っていて、今お茶を淹れるから。」
(松川が紅茶の葉をポットに入れ、沸騰したお湯をティーポットに注ぎ込む。その手つきは驚くほど鮮やかだ。)
(あおいはその様子を見つめ、思わずうっとりとした表情になる。)
あおい(心の声)
「こんなに紅茶を淹れる姿だけで見とれてしまうなんて…」
(松川が淹れてくれた紅茶を一口含むと、さわやかな香りが鼻腔を抜ける。心地よいダージリンの香りがあおいを包み込む。)
あおい
「…これが本当の紅茶なら、今まで私が飲んでいたのは一体…」
松川永史
「気に入ってくれたならよかった。これはダージリンの夏摘み。ちょっと贅沢なやつだけどね。」
(松川が微笑むと、あおいは胸が高鳴るのを感じる。)
松川の部屋・ソファ
(二人がリビングのソファに座り、雨音が静かに響く中、紅茶を手にしながら会話を交わす。)
あおい
「…突然押しかけてしまって、ごめんなさい。でも、松川さんが私の学校の先輩だったなんて、本当にびっくりしました。」
(松川は少し照れくさそうに笑う。)
松川永史
「俺も驚いたよ。まさかこんな形で再会するとは思ってなかった。」
(あおいが松川を見つめると、松川はふと表情を和らげ、少し切なげに続ける。)
松川永史
「…実は、連絡しようか迷ってたんだ。でも、俺みたいなおじさんが連絡したら迷惑かなって思って。」
(あおいは慌てて首を横に振る。)
あおい
「迷惑だなんて!そんな…私は、松川さんにまた会えて…本当に嬉しいです!」
(その言葉に、松川は少し照れたように目を細めて微笑む。)
松川永史
「そう言ってくれるなら、俺も嬉しいよ。」
(二人の間に一瞬の沈黙が流れ、外の雨音だけが静かに響く。その穏やかな空気の中、あおいは心がじんわりと温かく満たされていくのを感じる。)