表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/107

2025年3月10日 午後 高蔵寺スープリームコートタワーレジデンス

シーン:2025年3月10日 午後 高蔵寺 路上


(あおいは合格の興奮を抑えきれない様子で高蔵寺スープリームコートタワーレジデンスへ足早に向かっている。スマートフォンを握りしめ、何度もLINEの画面を確認する。)


あおい

(自分に言い聞かせるように)

「どうして既読がつかないの……?松川さん、絶対気づいてるはずなのに……。」


(高蔵寺スープリームコートタワーレジデンスに到着。息を整えながらエントランスでインターフォンを押す。)


あおい

「最上階……松川さん……。」


(数回呼び出してみるが、応答はない。)


あおい

(不安そうに)

「どうして……?何かあったの……?」


(背後から声がする。)


男性の声

「あおいさん、ですね。」


(驚いて振り返ると、左腕に高級そうな腕時計を巻いた見覚えのある男性が立っている。)


あおい

(困惑して)

「あなたは……。」


寿司職人

(微笑みながら一礼)

「お久しぶりです。以前お世話になった寿司職人です。」


あおい

「寿司職人さん……!お久しぶりです。でも、どうしてここに……?」


寿司職人

(落ち着いた口調で)

「松川さんはもうこのマンションを引き払われましたよ。東京のマンションも。」


あおい

(唖然として)

「えっ……。じゃあ、松川さんは今いったいどこにいるんですか?」


寿司職人

(首を横に振りながら)

「それは私にもわかりません。ただ……3月10日の午後、あなたがここを訪ねてくるはずだから、これを渡してほしいと頼まれまして。」


(寿司職人はジャケットの内ポケットから一通の手紙を取り出し、あおいに渡す。)


寿司職人

「はい、どうぞ。」


(あおいは手紙を受け取り、立ち尽くす。震える手で封筒を握りしめながら、言葉を失う。)


あおい

(小声で)

「松川さん……どうして……。」


寿司職人

(苦笑して)

「全く、人使いが荒いですよね。手紙を渡すためだけに東京からここまで来させるんですから。」


あおい

(目を見開いて寿司職人を見つめる)

「……。」


寿司職人

(時計を軽く指で触れながら)

「まあ、パテック・フィリップ欲しさに引き受ける私も私なんですが……。」


(寿司職人は柔らかく笑い、あおいを残してゆっくりと立ち去る。あおいはしばらく動けないまま、手紙を見つめ続ける。)


シーン終了

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ