浮かび上がる数字
シーン:2024年11月 高蔵寺スープリームコートタワーレジデンス 最上階 松川永史の部屋
(松川永史が真剣な表情で、ソファの向かいに座るあおいに向き合う。)
松川永史
「いいかい、あおいちゃん。競馬のことは知らないかもしれないけど……来月の22日、有馬記念というレースがある。」
あおい
「有馬記念……?」
松川永史
「GⅠと呼ばれる大きなレースのひとつだ。年末の大一番。その一万円で馬券を買うんだ。」
あおい
(驚きの表情を浮かべる。)
「でも……私、競馬なんて全然わからないし、どうやったら……。」
松川永史
(自信ありげに微笑む。)
「いいかい。俺の言う通りに買うんだ。今回は大荒れになる。3連単を当てれば、配当は1000万を超えてくるはずだ。」
あおい
(戸惑いながら、真剣に松川永史の目を見る。)
「3連単……?どういう……。」
(突然、あおいの視界がぼやける。一瞬、時間が止まったような感覚に襲われる。そして、鮮明な数字が頭の中に浮かび上がる。)
あおい
(目を見開き、自然と口から言葉がこぼれる。)
「……『8-16-1』ですか?」
(松川永史が驚いて体を乗り出す。)
松川永史
「どうしてそれを……?」
あおい
(自分でも不思議そうに首を振りながら答える。)
「わからないんです。どうしてかわからないけど……いま頭の中にはっきりとその数字が浮かんだんです。」
(あおいは一呼吸置き、決意を込めた表情になる。)
あおい
「……わたし、勝負します。」
(松川永史は信じられないという顔であおいを見つめる。その内心では、彼女が自分と同じ不思議な力を持っているのではないかと考え始める。)
松川永史
(心の中でつぶやく。)
「まさか……。あおいちゃんにも俺と同じことが……こんなことがあるなんて……。」
(静寂の中で、二人の間に不思議な緊張感が漂う。高層マンションの窓の外には、街の夜景が煌めいている。)
シーン終了