再会
高蔵寺スープリームコートタワーレジデンスの前
(夕方。あおいは「高蔵寺スープリームコートタワーレジデンス」の前に立ち尽くしている。タワーマンションは天を突くような高さで、あおいはその威圧感に飲まれそうになる。)
あおい
「ここが…松川さんが住んでる場所…」
(巨大な建物を見上げると、厳重なセキュリティのゲートが立ちはだかり、中をうかがうことすらできない。)
あおい(心の声)
「どうしよう…これじゃ、入ることも、松川さんに会うこともできない…」
(そのとき、突然ポツリポツリと雨が降り始める。あおいは傘も持っていないまま、戸惑いながら建物の周りを歩き回る。)
建物の周りで
(あおいが雨の中をうろうろしていると、警備員が不審そうに近づいてくる。)
警備員
「すみません、ここで何をしているんですか?」
(驚きと焦りから、あおいは思わず尋ねる。)
あおい
「あ、あの…松川永史さんという方がこのマンションに住んでいませんか…?」
警備員
「申し訳ありませんが、住人のことについてはお答えできません。」
(冷たく対応され、あおいは肩を落とし、途方に暮れる。)
あおい(心の声)
「こんなに頑張ってここまで来たのに…無理なのかな…」
(あおいが立ち尽くしていると、突然背後から聞き覚えのある声が。)
松川永史
「あれ…あおいちゃんじゃないか?」
(驚いて振り返ると、そこには私服姿の松川永史が、雨の中傘をさして立っている。)
あおい
「松川さん…!」
(松川の姿を見た途端、あおいは全身が熱くなり、何も言えずに見つめてしまう。)
松川永史
「こんな雨の中でどうしたんだい?こんなところで会うなんて、偶然だね。」
(その柔らかな微笑みに、あおいは胸が締めつけられるのを感じる。)
あおい
「……会いたくて…来てしまいました。」
(松川は一瞬驚いた表情を見せたあと、優しく微笑んであおいの肩にそっと手を置く。)
松川永史
「それなら…少し話そうか。俺の部屋で雨宿りしよう。」
(あおいは涙ぐみながら頷き、松川とともにタワーレジデンスの中へと向かう。)