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第8話 再会と分裂

この物語は小さい時から僕の心の中にもうひとつの世界として描いていました。

雑な文章にはなりますが僕の心の中にずっと秘めていた世界を誰かに見せることが出来ればと思います。

美術室のカーテンの裏で息を潜めて震える影が1人。

沙耶は青髪の青年と離れた後一番最初に出会った男性を探していたが化け物に見つかってしまい、美術室へと逃げ込んでいた。

手には現地調達した護身用の彫刻刀を握り、蹲っていた。


「お兄さん……どこ行ったんだろう……もう殺されちゃったのかな………」

沙耶はこの危険な場所で1人きりの状況に限界を迎えていた。


「私も殺される?………………みんな殺されるの?……………みんな死ぬんだ………あははっ………なら…今死んだって変わんないじゃん………」

こんな状況で精神を保てるわけが無い。

気づいたら笑い声が口をついて出ていた。


「………1人は嫌だ…………寂しいのは嫌だ………」

目に涙が浮かぶ。

一刻も早く状況が変わって欲しい。でも怖くて思うように動けない。

1人の寂しさとイライラが積もって彫刻刀を握る手に爪が食い込むほど力が入っていた。

この彫刻刀で今死ねたらどんなに楽だろうか。この状況から解放されるのか。

そんなことを考えてしまった自分を振り払うように首を左右に振った。


「私ってほんとにバカ…助けてくれた時にそのまま着いて行きたいってお願いすれば良かった…」

昔からイライラするとムキになったり突発的に行動してしまうところが良くないってわかっているのに。


自分の弱さに悔しさを覚えた。

手の甲でゴシゴシと涙を拭ってゆっくりとカーテンの裏から出る。手には彫刻刀がしっかり握られている。


「こんなとこでじっとしててもイライラして仕方ないだけ……お兄さん探そう…」


扉を開け、美術室から恐る恐る1歩を踏み出した。

周りを見渡しても化け物の気配は無い。


「もう………やだやだやだ………」


ブツブツと呟きながら廊下をゆっくり歩いた。

そういえば隠れてる間に一夜明けて朝になったが生徒の姿も先生の姿も見えない。

やっぱり今この学校は生徒が登校できる状態じゃないのかもしれない。

あれ?そもそもこれって建造物侵入罪になるんじゃ…?

警察が来た時の逃げ方も考えておかないと。


ゆっくり渡り廊下を渡って真逆側にある棟まで来た。

渡り廊下から下を見ると倒れている人がちらほら見えた。

「みんな死んじゃってるのかな……」


棟の中に入って窓から外を見るとまた1つ小さめの棟が見えた。

「ほんとに、無駄に敷地でかい学校…………あれ?」


なにか動きがあった気がして小さい棟の1階の窓へ目を凝らした。

2人分の人影が動いている。

「お兄さん………かな?」


1階へ降りてそのままその棟へ向かうことにした。

棟の間にさほど距離は無く少し歩けば着くくらいだった。

棟へ入り人影が見えたところをめざして歩いた。

「これ………部活に使う建物かな?部室みたいなのしかない」


置いてある道具や雰囲気はまるでトレーニングジムだ。


更衣室の表札が見えたところで人影の正体も見えた。

「あ……………………」


探していた姿が目の前にいる。

「お兄さん………!生きてた!!」


紫色の瞳が私の姿を捉えた途端ぱっと笑顔になった。

「あー!!倒れてた女の人!!!無事だったんだ!」

「名前!沙耶です!!!」


変な呼び方をされて慌てて自己紹介をしてしまった。


「あ、ごめんなさい、沙耶さん無事でよかった!」

「お兄さんこそ!誰もいなくて心細くて、めっちゃ探してたんですから…!見つけたと思ったらなんか血まみれだし…」

「僕は大丈夫!ちゃんと五体満足ですよ!」

服に返り血を浴びてるように見えるが怪我はなさそうだった。


「…………なんでここに…」

ボソッと呟く声がした方を見ると下半身にタオルを巻いた全身真っ白な青年が赤い双眸でこっちを見つめていた。


「焔は服きてないんだから更衣室戻った方がいいんじゃ…てか焔は沙耶さんと知り合い?」

「…………春也は知らないはずないんだけど、まあいいや」


私こんな真っ白な知り合いいたっけ?一方的に知られてたのかな?

そもそもこの真っ白な焔って人の言い草だとお兄さんと私が知り合いだった説ある?


焔さんはこっちを睨んだまま更衣室に戻って行った。

さっきの青年と同じで、態度悪いなぁ……


「お兄さんの名前、春也さんって言うんですね」

「あ、僕の自己紹介がまだだった。ほっとしちゃって完全に忘れてました」

「いえいえ!お気になさらず!春也さん…もし良ければなんですけどお願いがありまして…」

「なんでしょうか…?」


1人でもう行動したくない。あの焔さんってやつはムカつくけど着いてきてもいい。死にたくない。

「あの、私も一緒に行動させてくれませんか?」

「ええ!もちろん!人数は多い方が心強いですし!」


春也さんは快く承諾してくれた。これで一緒に行動する仲間ができた。


「………なら、僕は必要ないね」

そう言いながら焔が更衣室の扉が開けてこっちを睨み気味で見ていた。


「今から別行動だ」

「なんでそうなるんだよ」


何?メンヘラ起こしてるの?面倒くさ………


「焔が来ないと困る」

「嫌だね」

「じゃあ言い方を変える。来い」

「聞こえない?嫌っつってんの。行かない」


まずい、喧嘩が始まりそうな空気…

春也さんはイライラした様子でガシガシと頭を掻いた


「何がそんなに気に食わないんだよ。着いて来た方がお前にとってもメリットだろうが。血貰えるんだから」

血!?!?自称吸血鬼の人!?

この2人の関係がいまいち見えない…


「嫌だね、デメリットの方が大きい」

「大人数だと目立つって話か?3人程度じゃ変わんねぇよ」

空気がどんどん重くなる。

ピリピリとした空気に耐えられずに口を開いた。


「あの……!嫌なら着いてこなくていいです。私にとっては焔さんが来るメリットなんて別に分かんないし、別に来なくても大丈夫です!!!」

言い方きつくなっちゃったかな。

でもさっきから失礼な態度をとってるのはこいつの方だ、私は悪くない。


「その方が助かるよ。じゃあ春也、そういうことだから。血が足りなくなったら貰いにだけ行くわ」

焔さんはそう言って乾燥が終わった洗濯機から服を取りだし更衣室の扉を閉めた。


「春也さん…あの人何者…?」

「はぁ…………あいつがいないと割とまずいんだよなぁ…」

あれ、私結構まずいことしたかな?

でも嫌がる人を無理に連れてくのは私も嫌だし、そもそもあいつ、第一印象から苦手だ。


服を着た焔さんは更衣室から出て私たちには見向きもせずに出ていこうとした。

春也さんは焔さんの手を掴んで引き留めようとした。


「お前まじで、自分勝手もいい加減にしろよ」

「なんで?そうやって指図ばっかりするけど、お前ここでの生き方なんて分かんの?友達ごっこ馴れ合いごっこでみんな仲良く死ぬのはごめんなんだけど」

「お前……そんな言い方ないだろ!」

「うるさい、大きい声出さないでくれる?」

焔さんは春也さんの手を振り払い棟を出ていった。


焔さんの姿が見えなくなって緊張した空気が少しずつ解けた。

「ごめんなさい、修羅場みたいなもの見せてしまって…」

「いえ…あんな態度取らなくてもいいのにって私ずっと思ってました」

「沙耶さんは、焔の事嫌いになった?」

「はい、嫌いです」

即答で言い切った。

「あはは…だよなぁ…さっきまであんなやつじゃなかったんだけどなぁ…」


春也さんは苦笑いをしながら項垂れてしまった。

「これからどうしようなぁ…」


冷たくなった空気に温度が戻ってきたが気まずさは消えない。

今は、春也さんと会えたことだけが心の安寧だ。

ここからどうして行くかは正直分からないけど、なんとかなる絶対。

そう言い聞かせてそっと春也の手を握った。

お読み頂きありがとうございます。

初作品ですので至らない部分が目立つかと思いますが楽しく書いて行こうと思います。

少しでも続きが気になると思ってくださった方はブクマ、評価して頂けるとモチベになります。

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